「教師は聖職者にあらず」 はやし浩司先生の育児・教育指導
たまたま私はこの原稿を、石川県のK市にあるホテルで書いている。
小さな会議に出席するためにやってきた。
約束の時刻までまだしばらくあるということで、何気なく、……というより部屋の空気を入れかえるために窓をあけて眼下を見ると、露天風呂。しかも女湯!
その無防備さに、私は我が目を疑った。
私の部屋からその露天風呂までは、ちょうど10階分の落差がある。
女性たちがはっきりと見える距離ではないが、しかし遠過ぎるという距離でもない。
とたん、私の鼓動が高まるのを覚えた。
人は私のことを勝手に「教育評論家」と呼んでいる。
最初はこの言葉に大きな抵抗を感じたが、今では自分からこの名前を使うことがある。
しかしこの言葉はどこかいやだ。
「教育者」というイメージが強過ぎる。たしかに私はいろいろな子育て論を論ずるが、しかし教育者ではない。いわんや教育者という言葉から受けるような聖職者ではない。
その証拠に、現に今、心臓がドキドキしている。
54歳にもなって、そんな世界とはまあ、半ばあきらめたというか、無縁の世界にいるはずなのに、何という現象。何という愚かさ。
しかしそれにしても露天風呂の女性たちの大胆さといったらない。
大きな石の上に、まさにあぐらをかいて連れ添った別の女性と話し込んでいる。
小さな風呂だが、バシャバシャと足で蹴って、水しぶきをたてているのもいる。
私はやがてそういう光景を見ている自分がなさけなくなった。
今の私はまさに本能の虜(とりこ)になっている。
「見たところでどうということはないではないか」という私。
これが理性のあるほうの私。しかし「見ていたい」という私。これが本能の私。が、そのうち、こんなことに気づいた。
「こうした無防備さこそが、ホテル側の意図的な戦略ではないか?」「わざと私のような人間に見せるようにしくんでいる?」と。
とたん自分の心の中で、スーッと本能が冷めていくのを感じた。
私はあえていう。
教師は決して聖職者ではない。
教師と言っても、あなたの夫や、あなたの兄や弟とどこも違わない、ただの人間である。
この私ですらそうなのだから……という言い方は変だが、私はだれが見ても、「まじめな人間?」に見えるらしい。その私ですらそうなのだから、少なくとも男の教師は皆、そうであるとみてよい。
露天風呂に遊ぶ若い女性を見て、「何も感じない」と、窓をしめる教師などいない。
いたらいたで、その「ふつうでないこと」を疑ってみたほうがよい。
おなかがすけば何かを食べたくなる。
それと同じように、こうした性欲はだれにでもある。
もっともあったからといって、それがまちがっているというのではない。それが正常な人間ということになる。
さて本論。
よく教師による女生徒へのセクハラ事件が話題になる。
教師がハレンチ事件を起こすこともある。
そういうとき世間は、鬼の首でもとったかのように騒ぐが、そもそもそういうスキを与えたのもその世間ではないのか。
もっとはっきり言えば、教育のシステムをそういう前提、つまり教師といえどもただの人間であるという前提で組み立てるべきではないのか。
私はそんなことを考えながら、今度は本気で窓を閉じた。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー4
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。