「学力は低下している?」 はやし浩司先生の育児・教育指導
国際教育到達度評価学会(IEA、本部オランダ・1999年)の調査によると、日本の中学生の学力は、数学については、シンガポール、韓国、台湾、香港についで、第5位。
以下、オーストラリア、マレーシア、アメリカ、イギリスと続くそうだ。理科については、台湾、シンガポールに次いで第3位。以下韓国、オーストラリア、イギリス、香港、アメリカ、マレーシア、と。
この結果をみて、文部科学省の徳久治彦中学校課長は、「順位はさがったが、(日本の教育は)引き続き国際的にみてトップクラスを維持していると言える」(中日新聞)とコメントを寄せている。
東京大学大学院教授の苅谷剛彦氏が、「今の改革でだいじょうぶというメッセージを与えるのは問題が残る」と述べていることとは、対照的である。
ちなみに、「数学が好き」と答えた割合は、日本の中学生が最低(48%)。「理科が好き」と答えた割合は、韓国についでビリ2であった(韓国52%、日本55%)。学校の外で勉強する学外学習も、韓国に次いでビリ2。一方、その分、前回(95年)と比べて、テレビやビデオを見る時間が、2・6時間から3・1時間にふえている。
で、実際にはどうなのか。
東京理科大学理学部の澤田利夫教授が、興味ある調査結果を公表している。
教授が調べた「学力調査の問題例と正答率」によると、つぎのような結果だそうだ。
この20年間(1982年から2000年)だけで、簡単な分数の足し算の正解率は、小学6年生で、80・8%から、61・7%に低下。
分数の割り算は、90・7%から66・5%に低下。
小数の掛け算は、77・2%から70・2%に低下。
たしざんと掛け算の混合計算は、38・3%から32・8%に低下。
全体として、68・9%から57・5%に低下している(同じ問題で調査)、と。
いろいろ弁解がましい意見や、文部科学省を擁護した意見。
あるいは文部科学省を批判した意見などが交錯しているが、日本の子どもたちの学力が低下していることは、もう疑いようがない。
同じ澤田教授の調査だが、小学6年生についてみると、「算数が嫌い」と答えた子どもが、2000年度に30%を超えた(1977年は13%前後)。
反対に「算数が好き」と答えた子どもは、年々低下し、2000年度には35%弱しかいない。
原因はいろいろあるのだろうが、「日本の教育がこのままでいい」とは、だれも考えていない。
少なくとも、「(日本の教育が)国際的にみてトップクラスを維持していると言える」というのは、もはや幻想でしかない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー3
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。