「知識と「考えること(思考)」は別」 はやし浩司先生の育児・教育指導
たいていの親は、知識と思考を混同している。
「よく知っている」ことを、「頭のよい子」イコール、「よくできる子」と考える。
しかしこれは誤解。まったくの誤解。
たとえば幼稚園児でも、掛け算の九九をペラペラと言う子どもがいる。
しかしそういう子どもを、「頭のよい子」とは言わない。
「算数がよくできる子」とも言わない。
中には、全国の列車の時刻表を暗記している子どももいる。
音楽の最初の一章節を聞いただけで、曲名を当てたり、車の一部を見ただけで、メーカーと車種をあてる子どももいる。
しかし教育の世界では、そういうのは能力とは言わない。
「こだわり」とみる。
たとえば自閉症の子どもがいる。
このタイプの子どもは、ある特定のことがらに、つよいこだわりをもつことが知られている。
考えるということには、ある種の苦痛がともなう。
そのためたいていの人は、考えること自体を避けようとする。
あるいは考えること自体から逃げようとする。
一つの例だが、夜のテレビをにぎわすバラエティ番組がある。
ああいった番組の中では、見るからに軽薄そうなタレントが、思いついたままをベラベラというより、ギャーギャーと騒いでいる。
彼らはほとんど、自分では何も考えていない。
脳の、表層部分に飛来する情報を、そのつど適当に加工して言葉にしているだけ。
つまり頭の中はカラッポ。
パスカルは「パンセ」の中で、『人間は考えるアシである』と書いている。この文を読んで、「あら、私もアシ?」と言った女子高校生がいた。
しかし先にも書いたように、「考える」ということは、もっと別のこと。
たとえば私はこうして文章を書いているが、数時間も書いて、その中に、「思考」らしきものを見つけるのは、本当にマレなことだ。(これは多分に私の能力の限界かもしれないが……。)
つまり考えるということは、それほどたいへんなことで、決して簡単なことではない。
そんなわけで残念だが、その女子高校生は、そのアシですら、ない。
彼女もまた、ただ思いついたことをペラペラと口にしているだけ。
多くの親は、「ほら、英語教室」「ほら、算数教室」と子どもに知識をつけさせることを、教育と思い込んでいる。
しかし教育とはもっと別のこと。
むしろこういう教育観(?)は子どもから「考える」という習慣をうばってしまう。
私はそれを心配する。
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情報・画像の出展:はやし浩司先生
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。