「心を通訳しない」 はやし浩司先生の育児・教育指導
英語にはときどき、ハッと思うような表現がある。
たとえば「トランスレイト(通訳)」という言葉。
相手の心を、「こうだろう」と思って代弁すると、「君の判断で通訳しないでくれ」と言われる。が、日本では、甘い。親が子どもの心を決めてしまうことも、珍しくない。
母「先日は、息子(年長児)が、いろいろお世話になりました。
息子も『楽しかった』と喜んでいます」と。しかし肝心の息子は、そ知らぬ顔でプイと遠くを見ている……。
さらに程度が進むと、こんな会話をするようになる。
私、子ども(年長児)に向かって、「この前の日曜日は、どこへ行ったのかな?」、
母、会話に割り込んできて、「おばあちゃんちへ行ったでしょ。ね、そうでしょ」、
私、再び子子どもに向かって、「楽しかったかな?」、
母、再び会話に割り込んできて、「楽しかったでしょ。そうでしょ! どうしてあんたは自分で楽しかったと言えないの!」と。
典型的な過干渉ママの会話だが、こうした会話は親子断絶の第一歩とみてよい。
「子どものことは私が一番よく知っていると」と思い込む親。
「親は何も私のことをわかってくれない」と思う子ども。いや、子どもが小さいうちは、まだよい。
子どもが親に合わせるが、少し大きくなると、そうはいかない。
子「うるさい!」、親「何よ、親に向かって!」となる。
子どもの人格を認めるということは、子どもの心を大切にするということ。
心を大切にするということは、常に子どもの心を確かめるということ。
自分がそう思うからといって、子どももそう思うと考えるのは、まちがい。まったくのまちがい。
そういう前提で、子どもの心を確かめる。
よくあるケースは、おけいこごとなど、親が勝手に決めてしまうケース。
「来週から、ピアノ教室へ行きますからね」と。やめるときもそうだ。
子どもの心を確かめることもなく、「来月から別の教室へ行きます。今、行っているところは、今月でおしまい」と。
子どもの心は通訳しない。これは正常な親子関係を築くための鉄則の一つと考えてよい。
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。