「親孝行を美徳にしない」 はやし浩司先生の育児・教育指導
日本では「親孝行」が、当たり前になっている。
しかしそういう常識(?)の陰で、人知れず、それに苦しんでいる人は多い。
親を前にすると体中が緊張する(34歳女性)、実家へ帰るのが苦痛(30歳女性)など。
しかし世の中には、親をだます子どもがいるが、子どもをだます親もいる。
Tさん(70歳)がそうだ。
Tさんは息子(45歳)がもっている土地の権利書を言葉巧みに取りあげて、それを他人に転売してしまった。権利関係が複雑な土地だったこともあるが、その息子はこう言う。
「親でなかったら、訴えているところです」と。
が、当のTさんには、罪の意識がまったくない。間に入った人がそれとなく息子の気持ちを伝えると、Tさんはこう言った。
「親が息子の財産をつかって何が悪い。私が息子たちにかわって、先祖や家を守ってやっているのだ」と。
親孝行するかしないかは、あくまでも子どもの問題。
もっと言えば、一対一の人間関係が基本。
「親が上で、子は下」という関係では、そもそも良好な人間関係など育たない。
親子はあくまでも平等だ。その基本なくして、親孝行はありえない。
言いかえると、親は、子どもを「モノ」とか、「所有物」として考えるのではなく、一人の「人間」として認める。
すべてはここから始まる。
つまり親は子どもを育てながら、自らも「尊敬される親」にならなければならない。
子どもが親を孝行するかしないかは、あくまでもその「結果」でしかない。
さらに言いかえると、子どもが親を軽蔑し、親孝行を考えなくなったとしても、その責任は子どもにはない。
そういう親子関係しか作れなかった親自身にある。
きびしいことを言うようだが、親になるということは、それくらいたいへんなことでもある。
親孝行を子どもに求める親というのは、それだけで、依存心の強い親とみる。
「甘えている」と言ってもよい。そういう親からは、自立した子どもは生まれない。
前にも書いたが、依存心というのは、あくまでも相互的なものである。
そんなわけで子どもを自立させたかったら、親自身も子どもから自立する。またそのほうが、結局は子どもから尊敬される親になる。
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。