「赤ちゃん言葉」 はやし浩司先生の育児・教育指導
日本語には幼稚語という言葉がある。
たとえば「自動車」を「ブーブー」、「電車」を「ゴーゴー」と言うなど。
「食べ物」を「ウマウマ」、「歩く」を「アンヨ」というのもそれだ。
英語にもあるが、その数は日本語より、はるかに少ない。
こうした幼稚語は、子どもの言葉の発達を遅らせるだけではなく、そこにはもうひとつ深刻な問題が隠されている。
先日、遊園地へ行ったら、60歳くらいの女性が孫(5歳くらい)をつれて、ロープウェイに乗り込んできた。
私と背中あわせに座ったのだが、その会話を耳にして私は驚いた。
その女性の話し方が、言葉のみならず、発音、言い方まで、幼児のそれだったのだ。
「おばーチャンと、ホレ、ワー、楽チィーネー」と。
この女性は孫を楽しませようとしていたのだろうが、一方で、孫を完全に、「子ども扱い」をしているのがわかった。一見ほほえましい光景に見えるかもしれないが、それは同時に、子どもの人格の否定そのものと言ってもよい。
もっと言えば、その女性は孫を、不完全な人間と扱うことによって、子どもに対するおとなの優位性を、徹底的に植えつけている!
それだけその女性の保護意識が強いということになるが、それは同時に、無意識のうちにも孫に対して、依存心をもたせていることになる。
ある女性(63歳)は、最近遊びにこなくなった孫(小4男児)に対して、電話でこう言った。
「おばあちゃんのところへ遊びにおいで。お小づかいをあげるよ。それにほしいものを買ってあげるからね」と。
これもその一例ということになる。結局はその子どもを、一人の人間として認めていない。
欧米では、とくにアングロサクソン系の家庭では、親は子どもが生まれたときから、子どもを一人の人間として扱う。
確かに幼稚語(たとえば「さようなら」を「ターター」と言うなど)はあるが、きわめてかぎられた範囲の言葉でしかない。
こうした姿勢は、子どもの発育にも大きな影響を与える。
たとえば同じ高校生をみたとき、イギリスの高校生と、日本の高校生は、これが同じ高校生かと思うほど、人格の完成度が違う。
日本の高校生は、イギリスの高校生とくらべると、どこか幼い。幼稚っぽい。
大学生にいたっては、その差はもっと開く。これは民族性の違いというよりは、育て方の違いそのもの。
カナダで生まれ育った日系人の高校生にしても、日本の高校生より、はるかにおとなっぽい。
こうした違いは、少し外国に住んだ経験のある人なら、だれでも知っていること。
その違いを生み出す背景にあるのが、子どもを子どものときから、子ども扱いして育てる日本型の子育て法にあることは、言うまでもない。
何気なく使う幼稚語だが、その背後には、深刻な問題が隠されている。
それがこの文をとおして、わかってもらえれば幸いである。
●依存性の二つの側面 | ●親は子で目立つ |
●赤ちゃん言葉 | ●臥薪嘗胆(がしんしょうたん) |
●依存心と人格 | ●親は外に大きく |
●心の風邪……いかにして「無」になるか | ●互いに別世界 |
●自分を知る | ●バカなフリをして、子どもを自立させる |
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。