「勉強が苦手な子ども」 はやし浩司先生の育児・教育指導
勉強が苦手な子どもといっても、一様ではない。
まず第一に、学習能力そのものが劣っている子どもがいる。
専門的には、多動型(動きがはげしい)、愚鈍型(ぼんやりしている)、発育不良型(知的な発育そのものが遅れている)などに分けて考える。
最近よく話題になる子どもに、学習障害児(LD児)というのもいる。
教えても覚えない。覚えてもすぐ忘れる。覚えても応用がきかない。集中力がつづかず、教えたことがたいへん浅い段階で止まってしまう、など。
しかし実際に問題なのは、能力そのものに問題があるというよりは、たとえば私のようなもののところに相談があったときには、すでに手がつけられないほど、症状がこじれてしまっているということ。
たいていは無理な学習や強制的な学習が日常化していて、学習するということそのものに、嫌悪感を覚えたり、拒否的になったりしている。中には完全に自身喪失の状態になっている子どももいる。
原因は親にあるが、親自身にその自覚がないことが、ますます指導を困難にする。
どの親も、「自分は子どものために正しいことをしただけ」と思っている。
中には私がそれを指摘すると、「うちの子は生まれつきそうです!」と反論する親さえいる。
(生まれた直後から、それがわかる人などいない!)
……と書きながら、日本の教育はどこかゆがんでいる。
日本の教育にはコースというのがあって、親たちは自分の子どもがそのコースからはずれることを、異常なまでに恐れる。(「異常」というのは、国際的な基準からしてという意味。)
こういうばあいでも、本来なら子どもの能力にあわせて、子どものレベルで教育を進めるのが一番よいのだが、日本ではそれができない。
スポーツが得意な子どももいれば、そうでない子どももいる。
勉強についても、得意な子どもがいる一方、不得意な子どもがいてもおかしくないのだが、日本ではそういうものの考え方ができない。勉強ができないことは悪いことだと決めてかかる。
このことが、本来何でもないはずの問題を、深刻な問題にしてしまう。
それだけならまだしも、子どもに「ダメ人間」のレッテルをはってしまう。
考えてみれば、おかしなことだが、そのおかしさがわからないほどまで、日本の教育はゆがんでいる。
……という問題が、勉強が苦手な子どもの問題にはいつもついて回る。
だからといって、勉強などできなくてもよいと書くのは暴論だが、子どもを見るための一つの視点として、ここに書いたことを考えてみるとよい。少しは見方が変わると思う。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー10
NO’217〜NO’240
●新居の関所 | ●一芸論 |
●便利な世界 | ●一芸は聖域 |
●案ずるより産むがやすし | ●フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ |
●威圧で閉じる子どもの耳 | ●勉強が苦手な子ども |
●よい子論 | ●「今」の価値を忘れない |
●子どもの家出 | ●ええじゃないか |
●現場主義 | ●子どもの創造力 |
●子どもの意地 | ●習うより慣れる |
●子どもの自我 | ●子どもの嫉妬 |
●いじめられっ子は徳をつむ? | ●子どもの闘争心 |
●ホームスクール | ●権威主義者 |
●いたずらとジョーク | ●無限ループの世界 |
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
NO’25〜NO’48 | NO’97〜NO’120 | NO’169〜NO’192 |
NO’49〜NO’72 | NO’121〜NO’144 | NO’193〜NO’216 |
NO’217〜NO’240 | NO’241〜NO’264 | NO’265〜NO’282 |
NO’283〜NO’292 |
情報・画像の出展:はやし浩司先生
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。