「個性は生きザマ」 はやし浩司先生の育児・教育指導
個性は生きザマの問題。服装ではない。外観でもない。
中に子どもを茶髪にし、(茶髪が悪いといっているのではない)、「個性です」という親がいるが、そういうのは個性とは言わない。個性というのは生きザマだ。
その人がどんな人生観をもち、どんな生き方をしているかが個性だ。
その生きザマが光る人を、個性のある人という。服装や外観は、あくまでもその結果でしかない。
私ははからずもある国家プロジェクトの会議のメンバーに選ばれたことがある。
行政担当者の人選ミスによるものだが、その会議のメンバーは、私をのぞいて、そうそうたるメンバーであった。
日本を代表するような哲学者や科学者、それに毎晩テレビに顔を出すキャスターもいた。
その中でもとくに私の印象に残ったのが、養老猛司氏であった。解剖学が専門だと聞いている。
で、会議で見ると、頭はボサボサ、ブレザーのスーツも、どこかごくふつうのブレザーであった。
もし電車の中で横に並んでも、だれもあの養老氏とは思わないだろう。
私なんかふだんはそんなことを気にしたこともないのに、会議のたびに、何を着ていこうかとか、そんなことばかり気にしていた。(会議のたびに10〜20人の取材人が押し寄せたこともある。)
が、養老氏は、まったくのふだん着。
それだけを見てそう判断するのは、軽率かもしれないが、「ああ、大物は違うな」と、そのときはそう思った。
そういうのを個性という。
子どもでも個性の光る子どもと、そうでない子どもがいる。
どこがどう違うかといえば、要するに自分をもっているかどうかということ。
もう少しわかりやすく言えば、「つかみどころ」ということになる。
個性をもっている子どもは、子どもながらにそのつかみどころがはっきりとしている。
方向性や志向性がはっきりしていて、その方向性や志向性に向かって、前向きに取り組んでいる。
もっと言えば、内に秘めたバイタリティというか、そういうエネルギーを感ずる。
もちろん子どもの段階では、その子どもがどんな個性をもつようになるかまではわからない。わからないが、個性をもつだろうということはわかる。
このことはつまり、子どもの個性を伸ばすということは、子ども自身がもつ方向性や志向性を認め、そのバイタリティを前向きに引き出すということにもなる。
結果、その子どもがどういう個性を光らせるようになるかは、あくまでもその子ども自身の問題であって、教師はもちろんのこと、ひょっとしたら親ですら関知しえない問題かもしれない。
あくまでも子ども自身が決める問題なのだ。
……しかし実際のところ、「私は私」という生きザマを貫くことは、この日本ではたいへん難しい。
日本の社会そのものが、個性を認めるほど社会的に成熟していないこともある。このことについては、また別のところで考える。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー9
NO’193〜NO’216
●自分を知る | ●汗はかかせる |
●教育と指導 | ●あせる親は結論も早い |
●いい学校から、いい家庭へ | ●遊びが子どもの仕事 |
●疑いをいだかない愛 | ●思考回路 |
●愛情は落差の問題 | ●構造的な問題 |
●愛想は悪くて当たり前 | ●知識と学力 |
●子どもへの虐待 | ●頭を良くする方法 |
●あきらめは悟りの境地 | ●読書のしつけ |
●悪筆、言ってなおらず | ●あと一歩でやめる |
●普通こそ最善 | ●個性は生きザマ |
●それ以上、何を望むか | ●アルバムをそばに置く |
●己こそ、己のよるべ | ●前向きの暗示を |
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
NO’25〜NO’48 | NO’97〜NO’120 | NO’169〜NO’192 |
NO’49〜NO’72 | NO’121〜NO’144 | NO’193〜NO’216 |
NO’217〜NO’240 | NO’241〜NO’264 | NO’265〜NO’282 |
NO’283〜NO’292 |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。