「恩を着せない」 はやし浩司先生の育児・教育指導
依存心というのは、相互的なもの。
「産んでやった」「育ててやった」と親は子どもに恩を着せる。子どもに依存する。
一方子どもは子どもで、「産んでもらった」「育ててもらった」と恩を着せられる。親に依存する。
こうした依存型の人間は、万事に「甘い」。
ある子ども(小5女児)はこう言った。
「明日の遠足は休むと、学校の先生に連絡したの?」と私が聞くと、「今日、足が痛いと言ったから、先生はわかってくれているはずだ」と。
そこでまた私が、「休むなら休むで、しっかりと連絡したほうがいいんじゃないの?」と言うと、「先生はわかってくれているからいい」と。
このタイプの子どもは、「だから何とかしてくれ」言葉をよく使う。
たとえば何か食べたいときも、「食べたい」とは言わない。
「おなかがすいたア、(だから何とかしてくれ!)」というような言い方をする。
「先生、おしっこオ、(だから何とかしてくれ!)」というのもそうだ。
日本語の特徴ということにもなるが、言いかえると、日本人はそれくらい依存心の強い国民ということになる。
長くつづいた封建時代の中で、骨のズイまで、自由(自らに由る力)を奪われたためと考えてよい。
子どもばかりではない。
おとなでも依存心の強い人は多い。たとえばこのタイプの人は、相手の中にスキを見るのがうまい。
そしてスキがあると、「なっ、いいじゃないか……」というような言い方をしながら、とことんそのスキにつけ入ってくる。あるいは「貸しがある」と感ずる相手には、とことん甘える。
一方、自立心の旺盛な子どもは、攻撃的にものごとに取り組む。
生きざまそのものが攻撃的で、前向き。
このことについては前にも書いたので、問題はそのつぎ、つまりどうすれば自立心の旺盛な子どもにすることができるか、である。が、この問題は、冒頭にも書いたように相互的なもの。
子どもに自立心をもってほしかったら、親自身が自立しなければならない。
が、たいていは親自身に、その自覚がない。
親自身が「甘え」の中にどっぷりつかっているため、自分が依存型の人間であることに気づかないことが多い。
あるいは反対に、依存的であることを、むしろ美化してしまう。
よい例が、森進一が歌う『おふくろさん』である。
大のおとなが、夜空を見あげながら、「ママ〜」と涙をこぼす民族は、世界広しといえども、それほどない。
そういう歌が、国民的な支持を受けているということ自体、日本人が依存性の強い国民であることを示している。
子育ての目標は、子どもを自立させること。
そのためにもまずあなた自身が自立する。その第一歩として、子どもには恩を着せない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー7
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。