「子どもの抵抗力」 はやし浩司先生の育児・教育指導
怪しげな男だった。
最初は印鑑を売りたいと言っていたが、話をきいていると、「疲れがとれる、いい薬がありますよ」と。私はピンときたので、その男には、そのまま帰ってもらった。
西洋医学では、「結核菌により、結核になった」と考える。
だから「結核菌を攻撃する」という治療原則を打ち立てる。
これに対して東洋医学では、「結核になったのは、体が結核菌に敗れたからだ」と考える。
だから「体質を強化する」という治療原則を打ち立てる。
人体に足りないものを補ったり、体質改善を試みたりする。
これは病気の話だが、「悪」についても、同じように考えることができる。私がたまたまその男の話に乗らなかったのは、私にはそれをはねのけるだけの抵抗力があったからにほかならない。
子どもの非行についても、また同じ。非行そのものと戦う方法もあるが、子どもの中に抵抗力を養うという方法もある。
たとえばその年齢になると、子どもたちはどこからとなく、タバコを覚えてくる。
最初はささいな好奇心から始まるが、問題はこのときだ。
たいていの親はしかったりする。で、さらにそのあと、誘惑に負けて、そのまま喫煙を続ける子どももいれば、その誘惑をはねのける子どももいる。
東洋医学的な発想からすれば、「喫煙という非行に走るか走らないかは、抵抗力の問題」ということになる。
そういう意味では予防的ということになるが、実は東洋医学の本質はここにある。
東洋医学はもともとは「病気になってから頼る医学」というよりは、「病気になる前に頼る医学」という色彩が強い。あるいは「より病気を悪くしない医学」と考えてもよい。ではどうするか。
子育ての基本は、自由。自由とは、もともと「自らに由(よ)る」という意味。
つまり子どもには、自分で考えさせ、自分で行動させ、そして自分で責任を取らせる。
しかもその時期は早ければ早いほどよい。
乳幼児期からでも、早すぎるということはない。自分で考えさせる時間を大切にし、頭からガミガミと押しつける過干渉、子どもの側からみて、息が抜けない過関心、「私は親だ」式の権威主義は避ける。
暴力や威圧がよくないことは言うまでもない。
「あなたはどう思う?」「どうしたらいいの?」と。
いつも問いかけながら、要は子どものリズムに合わせて「待つ」。こういう姿勢が、子どもを常識豊かな子どもにする。抵抗力のある子どもにする。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー7
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。