「過関心は子どもをつぶす」 はやし浩司先生の育児・教育指導
子どもの教育に関心をもつことは大切なことだが、しかしそれが度を超すと、過関心になる。こんなことがあった。
ある日一人の母親が私のところへやってきて、こう言った。「学校の先生が、席決めのとき、『好きな子どうし、並んでいい』と言ったが、うちの子(小2男児)のように友だちがいない子どもはどうすればいいのか。そういう子どもに対する配慮に欠ける行為だ。これから学校へ抗議に行くので、あなたも一緒に来てほしい」と。さらに……。
子どもが受験期になると、それまではそうでなくても、神経質になる親はいくらでもいる。「進学塾のこうこうとした明かりを見ただけで、カーッと血がのぼる」と言った母親もいたし、「子どものテスト週間になると、お粥しかのどを通らない」と言った母親もいた。しかし過関心は子どもの心をつぶす。が、それだけではすまない。母親の心をも狂わす。
子どものことでこまかいことが気になり始めたら、育児ノイローゼを疑う。症状としては、ささいなことで極度の不安状態になったり、あるいは激怒しやすくなるのほか、つぎのようなものがある。(1)どこか気分がすぐれず、考えが堂々巡りする、(2)ものごとを悲観的に考え、日常生活がつまらなく見えてくる。さらに症状が進むと、(3)不眠を訴えたり、注意力が散漫になったりする、(4)無駄買いや目的のない外出を繰り返す、(5)他人との接触を避けたりするようになる、など。
こうした症状が見られたら、黄信号ととらえる。育児ノイローゼが、悲惨な事件につながることも珍しくない。子どもが間にからんでいるため、子どもが犠牲になることも多い。
過関心にせよ、育児ノイローゼにせよ、本人自身がそれに気づくことは、まずない。気づけば気づいたで、問題のほとんどは解決したとみる。そういう意味でも、自分のことを知るのは本当にむずかしい。『汝自身を知れ』と言ったのはターレス(古代ギリシアの七賢人の一人)だが、哲学の世界でも、「自分を知ること」が究極の目的になっている。
で、このタイプの親は明けても暮れても、考えるのは子どものことばかり。子育てそのものにすべての人生をかけてしまう。たまに子どものできがよかったりすると、さらにそれに拍車がかかる。いや、その親はそれでよいのかもしれないが、そのためまわりの人たちまでその緊張感に巻き込まれ、ピリピリしてしまう。学校の先生にしても、一番かかわりたくないのが、このタイプの親かもしれない。
あなたがここでいう過関心ママなら、母親ではなく、妻でもなく、女性でもなく、一人の人間として、生きがいを子育て以外に求める。ある母親は、娘が小学校へ入学すると同時に手芸の店を開いた。また別の母親は、医療事務の講師をするようになった。そういう形で、つまり子育て以外のところで、自分を燃焼させる場をつくり、その結果として子育てから遠ざかる。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー6
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。