「今を生きる」 はやし浩司先生の育児・教育指導
定年退職が近づくと、それぞれが退職後の夢を話し始める。
「田舎へ入って農業をする」「妻と船で世界を回る」「自動車で日本を一周する」など。「四国八八か所を歩いて回る」と言った人もいた。
しかし人生観などというのは、退職と同時にそんなに簡単に変えられるものではない。「組織」というバーチャル(仮想現実)な世界に生きてきた人が、退職と同時に、「生きる本分」に戻れるとは、私は思わない。
このタイプの人は、自分がバーチャルな世界にいることすら気づいていない。
退職と同時に、その気力も消えうせ、仮に旅に出たとしても、帰ってきてからの仕事ばかり考えるにちがいない。また退職後、しばらく仕事をしないでいると、体そのものが動かなくなることだってある。
いや、それまで健康がもつかどうかさえあやうい。
地位、肩書き、名誉、さらに学歴、家柄がすべてバーチャルであるように、実のところ未来もバーチャルとみる。そんなものはどこにもない。
ないことは、飼っている犬を見ればわかる。庭の土の上をうごめくアリを見ればわかる。
そんなものはすべて、ここ1000年、あるいは2000年のうちに人間が勝手に作り出したもの。
数10万年もの人類の歴史からみれば、ほんの一瞬のうちにできたものにすぎない。
大切なことは「今」という現実の中で、精一杯、自分らしく、この「時」をしっかりとつかみながら生きること。過去という存在しないものにこだわる必要はない。
同じように、未来という存在しないもののために、「今」を犠牲にしてはいけない。
結果はあくまでも、あとからついてくる。あるいはその結果として、地位、肩書き、名誉があるとするなら、それはそれでかまわない。
大切なことは生きる本分を忘れないことだ。これを忘れると、バーチャルな世界にハマってしまう。
夢があるなら、「今」すればよい。
決してあと回しにしてはいけない。田舎へ入って農業をしたければ、今からする。
近くに畑を借りて、野菜を育てるのもよいだろう。妻と船で世界を回りたければ、手始めに、韓国や台湾あたりに行ってみればよい。
自動車で日本一周をしたければ、今度の日曜日には、あなたの町を一周してみればよい。
今、やるべきこと。今、やれることは、いくらでもある。それが「今を生きる」ということになる。
子どもにしてもしかり。
大切なことは、子どもが子どもらしく、いかに「今」という時の中で、自分を輝かせていきるか、だ。
それともあなたは……、いや、こんな愚かな母親だいた。
息子(中3)が高校受験に失敗したとき、その母親は息子にこう言った。
「幼稚園のときから英語教室や算数教室に通ったけど、みんなムダだったわね」と。
バーチャルな世界に生きる人は、そういうようなものの考え方をする。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。