「今を懸命に生きる」 はやし浩司先生の育児・教育指導
バーチャルな世界に生きる人ほど、過去や未来(結果)にこだわる。
先日もある男性(60歳)が私にこう言った。「そういうことをすれば、私の先祖が許さない」と。私は思わず、「どこに先祖がいるのですか?」と聞きそうになった。
このタイプの人は、何ごとにつけ、家柄や出身にこだわる。それが生きがいになっていることもある。
一方、「死に際の様子で、その人の一生が決まる」と言った女性(45歳)がいた。
死に際の様子がよければそれでよし。
そうでなければ、その人の一生はまちがっていたことになるのだ、と。
ある宗教団体に属する人だった。
私はこの話を聞いて、「交通事故では死ねないな」と思った。
しかし交通事故にあうかあわないかは、偶然と確率の問題。
仮に交通事故で死んだからといって、その人の人生がまちがっていたことにはならない。
ロビン・ウィリアムズ主演の映画に「今を生きる」というのがあった。
「今を懸命に生きろ」と教える教師。進学指導中心の学校側。
そのはざまで一人の高校生が自殺するという映画である。
この「今を生きる」という生き方が、バーチャルな生き方の正反対の位置にある。
「過去や未来などどこにもない。あるのは今という現実だけ。だったらこの現実の中で精一杯、人間らしく生きよう。結果はあとからついてくる」と。
概して日本人は仏教(チベット密教)の影響を大きく受けているから、結果を重視する。
「終わりよければ、すべてよし」と。
そしてこういう生きざまは子どもの教育にも大きな影響を与えている。
いつも結果を重要視するから、幼稚園教育は小学校の入試のため。小学校教育は中学校の入試のため。さらに中学や高校は大学入試のため。大学は就職のため、と。
また社会へ出てからも、いつも「今」を未来のために犠牲にするようになる。
こうした生き方は、休暇のすごし方にもあらわれる。日本人はたまの休みが与えられても、その休みの間は休みが終わったあとの仕事のことしか考えない。
だからのんびりと休むこともできない。
子どもについても同じ。
子どもが日曜日に家でゴロゴロしていようものなら、親はこう言う。「宿題はやったの?」「来週のテストはだいじょうぶ?」と。
が、何といっても日本人の最大の悲劇は、そのバーチャルな世界に住みながらも、それがバーチャルな世界だと気づかないところにある。
それはまさしく映画「マトリックス」の世界といってもよい。「今を生きる」という本分が、どこかへ飛んでいってしまい、わからなくなってしまう。
……と書いたが、ここから先は、それぞれの人の生きざまの問題。
私のようなものがとやかくいう問題ではない。あとは皆さんの判断による。
ただ誤解しないでほしいのは、だからといって先祖を粗末にしてよいとか、そういうことを言っているのではない。「あくまでも生きる本分を忘れてはならない」と、私は言っているのである。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。