「子どもは自慢せよ」 はやし浩司先生の育児・教育指導
前の項で、「自慢は要注意」を書いた。が、「自慢してはいけない」と言っているのではない。問題は、自慢の「質」だ。たとえば英語国では、親は平気で子どもを自慢する。
「私は息子を誇りに思う」とか、「私の息子は、○○コンテストで1位になった」とか。
日本人はそういうほめ方はしない。謙遜して自分の息子を、「愚息」とか、「バカ息子」とか言うことが多い。
一般論として、子どもの努力とやさしさはほめる。
顔やスタイルはほめない。「頭」についてはほめてよいときと、そうでないときがあるので慎重にする。
そこで子どもの自慢も同じように考えてよい。
子どもが努力したことについては、遠慮なくほめる。自慢する。
そういう前向きな姿勢が、子どもを伸ばす。
……と言っても、はじめてアメリカへ行ったとき、向こうの親が自分の子どもを自慢するのを聞いて、私は少なからず驚いた。
日本でも自分の子どもを自慢する親はいるにはいるが、アメリカ人のように多くはない。
が、そのうち日本と英語国では、自慢の「質」が違うことに気づいた。
日本では、見栄やメンツのために子どもを自慢することが多い。
つまり何らかの下心をもって自慢する。
しかし英語国では、そういうものをクリアした段階で、子どもを自慢する。
つまり親は、子どもという人間だけをみて、子どもを自慢する。
だから子どももそれをすなおに受け入れる。
受け入れながら、子どもは、「父はぼくを信じていてくれるのだ」「父はぼくのことを喜んでいてくれるのだ」というように思うようになる。
が、この日本ではそうはいかない。
「うちの息子はA国立大学へ入いりましてね」と親が言ったりすると、どこかイヤ味に聞こえる。あるいはそれを言うほうにしても、相手はイヤ味に感ずるだろうということがわかっているから、あえて話題にしない。
……と言っても今、日本の社会は大きく変わりつつある。
欧米化というより、グローバル化が進んでいる。
外国の人に自分の息子を、「マイ・スチューピッド・サン(私の愚息)……」などと紹介しようものなら、相手は目を白黒させて驚くだろう。
つまりこうした言い方は日本以外の国では通用しない。(だからといって日本のやり方がまちがっているというのではない。念のため。)しないならしないで、なぜ外国では通用しないかを考えてみることも、大切なことではないのか。
もっと言えば、日本は日本で、長くつづいた島国根性の中で、ゆがめられた部分も多いということ。この「自慢」もその一つと考えてよい。
本来、親はもっと自分の子どもの成長を、人前でもすなおに喜んでもよいのではないか。
しかしそれがこの日本では、どうもできない。できないところが、その「ゆがみ」ということになる。
この問題の「根」は、想像以上に深い。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。