「読解力と国語力」 はやし浩司先生の育児・教育指導
読解力……年中児ともなると、文字をスラスラと読む子どもが出てくる。
しかしたいていは文字を音に変えているだけ。
私「ウサギさんは、だれに会いましたか?」、子「……わかんない」、私「クマさんは、うれしかったのかな?」、子「……わかんない」と。
読みの深い子どもは、一ページごとに、挿絵を見たり、前のページをのぞいたりするので、むしろ読む速度が落ちる。
またそういう読み方のほうが好ましいことは言うまでもない。
表現力……子どもに紙と鉛筆を渡し、こんなテストをしてみてほしい。
「リスさんが歩いていると、草の中に大きな穴がありました。リスさんは、その穴に落ちて、おおけがをするところでした。そこでリスさんは、あとから来た人が穴に落ちないように、立て札を立てることにしました。その立て札には何と書けばよいでしょうか」と。
文字の書き方がおかしいとか、字が抜けているとかいうことは問題にしてはいけない。
子どもが書けない文字があったら、そのつど教えてもかまわない。
で、このテストで子どもが、「ここは穴があるからあぶない」とか、「穴に気をつけて」というような文章が書ければよし。
「これは立て札です」とか、「あなたはここを歩いています」とか、どこかトンチンカンなことを書くようであれば、あまり表現力はないとみる。
ちなみに年長児で、まあまあそれらしき文章を書くことができるのは約50%。
抑揚……本を読ませてみたとき、言葉の抑揚が自然な子どもは、それだけ家で、おうちの人に本などを読み聞かせてもらっている子どもとみる。
どこか抑揚が不自然と感じたら、子どもにはたくさん本を読んであげるとよい。
国語力……中に「うちの子はたくさん本を読み聞かせているから、国語力がある」と誤解している人がいる。
決してムダではないが、国語力というのは、日常生活の中で身につく。
たとえば「ウサギさんの足はヒリヒリ痛みました」という文章があったとする。
親はそれを読んであげることで、「ヒリヒリ」の意味を子どもが理解したと思う。しかしそれだけでは足りない。
子どもがその言葉の意味を理解するようになるためには、実際、子どもがけがをしたようなとき、「ヒリヒリ痛いの?」と聞いてあげねばならない。
そういう体験があってはじめて、子どもは「ヒリヒリ」の意味がわかるようになる。
要するに子どもの国語力は、親の会話能力、あるいはその子どもを包む言葉環境で決まる。
もっと言えば、子どもが将来、国語が得意になるかどうかは、親の言葉能力で決まるということ。
学校で学ぶ国語は、その延長線上にあるにすぎない。いわんやワークやドリルで、国語力がつくと考えるのは大きな誤解である。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。