
適切な幼児教育は後の人間形成において大変重要であると考えていますが注意していただきたいことがあります。
幼児教育は完璧な育児や教育を推奨するものではないということです。
・愛情が第一を忘れない
・他の子どもと比較をしない
・完璧主義にならない
・結果を期待しすぎない
・ゆったりとした心を持つ
子どもへの過剰な期待は親子共に大きなストレスになる危険性あります。
ゆったりと構え、少しくらい上手くいかなくても「まぁ、いっか。」に考えられることが幼児教育を続けられるポイントになります。
「幼稚園児の不登校」について はやし浩司先生の子育て随筆
愛知県のAさんという、マガジン読者の方より、相談が届いた。あまり詳しいメールではなかったので、事情はよくわからない。いわく、「幼稚園へ行くのをいやがります。どうしたらいいでしょうか」と。
今、不登校児だけではなく、不登園児がふえている。当然のことながら、園児についても、不登校児に準じて考える。集団恐怖症や、対人恐怖症なども、考えられる。ほかに、かん黙症や、自閉傾向など。
赤ちゃんがえりがこじれて、不登園になるケースもあるし、家庭教育の失敗が原因で、そうなることもある。それはちょうど、病気のときの発熱と似ている。不登園という症状だけをみて、一つの原因に結びつけることは、できない。
しかし不登校にせよ、不登園にせよ、本当の問題は、学校や園へ行かないことではない。
たいてい、その前後で、親自身が、子どもの症状をこじらせてしまうこと。しかもよかれと思って、そうしてしまう。もちろん、こじらせているという意識は、親にはない。
「このまま不登校児になってしまったら、どうしよう」「小学校へ行けるかしら」と。そういう不安ばかりが先にたち、子どもには、無理をする。それこそ泣き叫んで抵抗する子どもを、無理やり車に押しこんで、園へつれていったりする。
しかしこの「一撃」が、症状を、かぎりなく悪化させる。本来なら、一過性ですんだはずの不登校が、一年、二年とつづく。
そして親をして親を不安にする原因は、言うまでもなく、学歴信仰である。「学校へ行けないこと」イコール、(落ちこぼれ)と、とらえる。日本人は、「学校」という言葉に、神話というにふさわしいほどの、独特のヒビキを感ずる。その呪縛(じゅばく)から逃れるのは、容易ではない。その容易ではない分だけ、子どもが幼稚園へ行かなくなったりすると、親は、大あわてする。
幼稚園など、行きたくなかったら、行かなくてもよい。……というのは、少し暴論に聞こえるかもしれないが、それくらいの意識を、心のどこかで用意しておくことは、大切なことである。
私がこの浜松市へ来たころには、一年保育と二年保育が主流だった。この浜松市でさえ、約5%の子どもは、幼稚園にすら通っていなかった。それが3年保育となり、4年保育となった。さらに幼保一元化の流れを受けて、まさに幼稚園は、保育園の仕事までするようになった。
それとも、たったこの30年で、日本人は、またまた進化したとでもいうのだろうか。
その相談してきた親には、理解できないかもしれないが、私が親なら、息子にせよ、娘にせよ、こう言う。
「ああ、そう。行きたくないなら、行かなくてもいいよ。自分で好くなことをしなさい。
そうだ、これから二人で、動物園でも行ってこようか」と。
実際、私とワイフは、自分の息子たちに、よくそうした。多いときは、毎月のように、そうした。今でも、あの解放感を、忘れることができない。
で、そしてつぎに、子どもには、こう言う。
「そのうち、行きたくなったら、行けばいいよ」と。
どうして日本人には、こういう余裕がないのか。自分の子どもの心を守る前に、自分の子どもを、社会のワクの中に、押しこめようとする。そしてそのワクの中に入らないからといって、わめいたり、泣き叫んだりする(失礼!)。
学校以外に道はなく、学校を離れて道はない。そういう道だけが、本当に、あるべき道なのか。幸福になる道は決して、一つではない。同じように、おとなになる道は、決して一つではない。
アメリカでは、ホームスクーラーが、200万人を超えた。そしてホームスクーラーどうしが、グループをつくって、交遊したり、活動したりしている。望めば、家庭まで、州政府が先生を派遣してくれる。
一方、この日本はどうかというと、これまた驚いた。先日、不登校児を指導するNPO(Non-Profit Organization・特定非営利活動法人)のホームページを見たが、そこには、こう書いてあった。
「私たちの目的は、子どもを再び、学校へ行けるようにすることです。だから現在、生徒数が少ないことを、喜んでいます」と。
NPO自体が、学校神話にとりつかれている? 学校へ行けない子どもを、落ちこぼれと、無意識の世界で、そう思っている? であるとするなら、何がNPOだ!
短い相談だったが、私はそのメールを読みながら、そんなことを考えた。
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。