自己概念 はやし浩司先生の教育アドバイス
「自分は、人にどう思われているか」「他人から見たら、自分は、どう見えるか」「どんな人間に思われているか」。そういった自分自身の輪郭(りんかく)が、自己概念ということになる。
この自己概念は、正確であればあるほどよい。
しかし人間というのは、身勝手なもの。自分では、自分のよい面しか、見ようとしない。悪い面については、目を閉じる。あるいは人のせいにする。
一方、他人というのは、その人の悪い面を見ながら、その人を判断する。そのため(自分がそうであると思っている)姿と、(他人がそうであると思っている)姿とは、大きくズレる。
こんなことがあった。
ワイフの父親(私の義父)の法事でのこと。ワイフの兄弟たちが、私にこう言った。
「浩司(私)さん、晃子(私のワイフ)だから、あんたの妻が務まったのよ」と。
つまり私のワイフのような、辛抱(しんぼう)強い女性だったから、私のような短気な夫の妻として、いることができた。ほかの女性だったら、とっくの昔に離婚していた、と。
事実、その通りだから、反論のしようがない。
で、そのあとのこと。私はすかさず、こう言った。「どんな女性でも、ぼくの妻になれば、すばらしい女性になりますよ」と。
ここで自己概念という言葉が、出てくる。
私は、私のことを「すばらしい男性」と思っている。(当然だ!)
だから「私のそばにいれば、どんな女性でも、すばらしい女性になる」と。
そういう思いで、そう言った。
しかしワイフの兄弟たちは、そうではなかった。私のそばで苦労をしているワイフの姿しか、知らない。だから「苦労をさせられたから、すばらしい女性になった」と。だから、笑った。そしてその意識の違いがわかったから、私も笑った。
みんないい人たちだ。だからみんな、大声で、笑った。
……という話からもわかるように、自己概念ほど、いいかげんなものはない。そこで、私たちはいつも、その自己概念を、他人の目の中で、修正しなければならない。「他人の目を気にせよ」というのではない。「他人から見たら、自分はどう見えるか」、それをいつも正確にとらえていく必要があるということ。
その自己概念が、狂えば狂うほど、その人は、他人の世界から、遊離してしまう。
その遊離する原因としては、つぎのようなものがある。
(1) 自己過大評価……だれかに親切にしてやったとすると、それを過大に評価する。
(2) 責任転嫁……失敗したりすると、自分の責任というよりは、他人のせいにする。
(3) 自己盲目化……自分の欠点には、目を閉じる。自分のよい面だけを見ようとする。
(4) 自己孤立化……居心地のよい世界だけで住もうとする。そのため孤立化しやすい。
(5) 脳の老化……他者に対する関心度や繊細度が弱くなってくる。ボケも含まれる。
しかしこの自己概念を正確にもつ方法がある。それは他人の心の中に一度、自分を置き、その他人の目を通して、自分の姿を見るという方法である。
たとえばある人と対峙してすわったようなとき、その人の心の中に一度、自分を置いてみる。そして「今、どんなふうに見えるだろうか」と、頭の中で想像してみる。意外と簡単なので、少し訓練すれば、だれにでもできるようになる。
もちろん家庭という場でも、この自己概念は、たいへん重要である。
あなたは夫(妻)から見て、どんな妻(夫)だろうか。さらに、あなたは、子どもから見て、どんな母親(父親)だろうか。それを正確に知るのは、夫婦断絶、親子断絶を防ぐためにも、重要なことである。
ひょっとしたら、あなたは「よき妻(夫)であり、よき母親(父親)である」と、思いこんでいるだけかもしれない。どうか、ご注意!
情報・画像の出展:はやし浩司先生
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。