教育の意味と必要性

ここでもやはり「教育」という言葉のもつ意味を確認していきましょう。

「教育」は様々に定義づけされてきましたが、現在大きな意味としては

「人が人としてよりよく生きるよう、潜在的にもつ能力を引き出したり、新たな知識・技能・習慣を身につけるようにする活動」

というのが一般的でしょう。

その中で「子どもの教育」に限定して話を進めていきたいと思います。

子どもの教育の最終目標は「有名校に進学させる事・一流企業に就職させる事」ではありませんよね。

人間に限らず、様々な動物を見ても「子どもの教育」、言い換えれば

「子育て」の最終目標は「子どもを大人にすること」です。

つまり「親の元を巣立って、自分一人の能力と才覚でよりよく生きていくだけの能力を育むこと」と言えると思います。

「育てる（そだてる）」の語源は「巣立てる（すだてる）」からきているようです。

「子どもの教育＝子育て」に取り組む上で最初に知らなければならない一つの認識があると思います。それは

「ヒトは生まれながらにして人間であるのだろうか」

という大問題です。

つまり「ヒト」を哺乳動物の仲間として見た時に、「教育」を与えずとも社会的存在としての「人間」に育つのであろうか？という事です。

（遺伝説と環境説の問題と言えます）

一つの検証例としてオオカミに育てられたとされている少女の話があります。

１９２０年、オオカミと暮らしていた二人の少女が保護され、後にアマラ・カマラと名付けられました。

二人は二本の足で立ち上がったり歩くことは出来ず、四つん這いで大変速く移動しました。

食事は生肉と牛乳を好み、手を使わず地面に置かれた皿に直接口をつけて食べることしか出来ませんでした。暗闇でモノがよく見えましたが逆に明るいところでは見えにくいようでした。

推定年齢8歳で保護されたカマラは１７歳頃に病気で亡くなりましたがそれまでに覚えられた言葉はわずか３０語程度でした。

アマラ・カマラの例は「ヒトの子どもとして生まれても　適切な時期に適切な教育環境になければ　社会的な「人間」としての一般的能力を身につける事は出来ない」と教えてくれます。

身体機能ですらそうなのですから、ましてや道徳的な心情、人間社会のマナー、言語や数学といった知能活動などはなおさらです。

続きはこちら→なんの為の教育か？

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