こんな怒り方は、我慢の仕方は、子どもを、ダメにする!

 

適切な幼児教育は後の
人間形成において大変重
要であると考えています
が注意していただきたい
ことがあります。
幼児教育は完璧な育児や
教育を推奨するものでは
ないということです。


 ・愛情が第一を忘れない
 ・他の子どもと比較をしない
 ・完璧主義にならない
 ・結果を期待しすぎない
 ・ゆったりとした心を持つ
 子どもへの過剰な期待は
 親子共に大きなストレス
 になる可能性があります。
 ゆったりと構え、少しくら
 い上手くいかなくても
 「まぁ、いっか。」
 位に考えられることが幼
 児教育を続けられるポイ
 ントになります。 

こんな怒り方は、我慢の仕方は、子どもを、ダメにする!  はやし浩司先生の子育て随筆2

 子育ては、言わば、条件反射の集まりのようなものです。そのとき、その場で、いちいち考え
て子どもを叱ったり、怒ったりする人はいません。たいていの人は、「頭の中ではわかっている
のですが、その場になると、ついカーッとして……」と言います。

 ただ最近の傾向としては、小子化の流れの中で、子どもの機嫌をそこねまいと、叱るべきと
きに叱らない親、怒るべきときに怒らない親がふえています。あるいは強く叱ったあとに、「さっ
きは、ごめんね。お母さんが悪かった」と、子どもに謝る親も珍しくありません。こういう親の心
のスキ間をねらって、子どもはドラ息子、ドラ娘化します。

 また子育てに不安を抱いていたり、子どもに何らかの不信感をもっている親は、どうしても子
どもを必要以上に強く叱ったり、怒ったりします。「いったい、いつになったら、あなたは私の言
うことが聞けるの!」と、です。あとはこの悪循環の中で、子どもはますます自分で考えたり判
断したりすることができなくなり、親の叱り方はますますはげしくなるというわけです。

 が、何が悪いかといって、親の情緒不安ほど悪いものはありません。先週は子どもがお茶を
こぼしたときは何も言わなかった親が、今週は、子どもがお茶をこぼしたりすると、子どもの顔
が青ざめるほど子どもを怒鳴り散らすなど。こういう環境では、子どもの性格は内閉し、さらに
悪い場合には、精神そのものが萎縮してしまいます。

 園や学校などでも、皆が大声で笑うようなときでも、皆と一緒に笑えず、口もとをゆがめてクッ
クッと笑うなど。なお悪いことに、このタイプの親は、静かで従順な子どもほど、「いい子」と誤解
して、ますます子どもを悪い方向に追いやってしまう傾向があります。

 叱り方、がまんのし方は、子育ての中でも要(かなめ)と言えるほど、重要であり、またそれだ
けに難しいことおです。叱るときや、がまんするときは、「ここが教育」と心してあたるようにしま
す。

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ポイント1

朝、ぐずぐずする。……ストレスを発散させてやる

 子どもは、自分の精神状態をうまくコントロールできません。そのため、心理的な抑圧状態が
続いたり、欲求不満が蓄積すると、それを「ぐずる」という方法で、表現します。暴れたり、暴言
を吐いたりするのをプラス型とするなら、ぐずるタイプはマイナス型ということになります。

 だから表面的な症状だけをとらえて、それを悪いことだと決めてかからないこと。対処方法と
しては、ぐずるだけぐずらせながら、(たいていはぐずることによって、子どもはストレスを発散
させる)、様子をみます。それでもぐずるようであれば、原因をさがしますが、情緒が不安定な
子どもの場合、原因そのものがはっきりしないのが、ふつうです。

そういうときは、カルシウム、マグネシウムの多い食生活に心がけながら、スキンシップを、より
濃厚なものにします。叱ったり、つきはなしたりすることは、かえって逆効果で、症状をこじらせ
ます。

ポイント2

忙しいときに、まとわりつく……早めに子離れ、親離れの準備を

 こんなことがありました。あるオランダ人夫妻(夫はイギリス人、妻はオランダ人)の家に遊び
に行ったときのこと。五歳になる女の子が、たまたま読書をしていたお母さんに話しかけてきま
した。そのときお母さんは、ひととおり女の子の言い分に耳を傾けたあと、その女の子にこう言
いました。「お母さんは、今、本を読んでいます。じゃましないでね」と。

 欧米人は(自分の時間)(子どもと接する時間)というのを、実にはっきりと使い分けていま
す。欧米流の子育て法が、必ずしもよいというわけではありませんが、こういう毅然(きぜん)と
した態度が、「私は、私。あなたはあなた」というものの考え方を育てていきます。

 つまるところ子育てというのは、子どもを自立させ、よき家庭人に育てることです。そういう視
点に立つなら、親はできるだけ早い時期に、子離れの準備をし、子どもには親離れの心がまえ
をもたせます。忙しかったら、「忙しいから、あとでね……」と言う。子どもの遠慮する必要はあ
りません。

ポイント3

外出時に言うことを聞かない……自己主張には耳を傾ける

 自己主張とわがままは区別します。また自己主張と、とじこもり(がんこ)は区別します。自己
主張には、それをする理由がありますが、わがままにはありません。「お兄ちゃんは、この前、
○○をしてもらったのに、ぼくはしてもらっていない」と訴えるのは、自己主張ですが、理由もな
く、「あれほしてほしい、これをしてほしい」と騒ぐのは、わがままです。また自分の「カラ」に閉じ
こもり、がんこになることは自己主張とは言いません。

 そこで子どもがワーワーと、その自己主張を始めたら、反論すべきことは反論しながらも、子
どもの言い分には、耳を傾けるようにします。その自己主張をする子どもほど、あとあとたくま
しい子どもになります。根性(がんばる力)や、忍耐力(いやなことをがまんしてする力)も、そこ
から生まれます。

 わがままに対しては、一般的には、無視するという方法で対処します。わがままは言ってもム
ダだという環境を整えるようにします。子どもの「がんこ」については、生まれつきの問題、さら
には情緒の問題がからむため、無理をすれば、かえって逆効果です。

ポイント4

片づけをしない……こまごましたことは言わない

 子どもに「先生の話をよく聞くのですよ」とか、「友だちと仲よくするのですよ」と言っても、意味
がありません。具体性がないからです。そういうときは、「先生が、どんな話をしたか、あとでマ
マに話してね」とか、「この○○を、Aさんにもっていってあげてね。きっとAさん、喜ぶわよ」と言
いなおします。同じように、子どもに、「部屋のあと片づけをしなさい」と言っても、意味がありま
せん。子どもには、その必要性がないからです。

 こういうときは、たとえば「おもちゃは一つ」と教えます。遊ぶおもちゃはいつも一つ、と決めさ
せるわけです。こうすれば、子どもは次のおもちゃで遊びたいがため、前のおもちゃは片づけ
るようになります。

 しかし一言。子どもにとっては、家庭は休息とやすらぎの場所だということを忘れてはなりま
せん。アメリカの劇作家は、こう言っています。「ビロードのクッションの上よりも、カボチャの頭
の上に座ったほうが、気が休まる」と。子どもが外の世界をもつようになったら、こまごまとした
ことを、あまりうるさく言わないことです。

ポイント5

兄弟げんか……よき聞き役に

 兄弟げんかについて、いろいろ言われています。「歳の近い姉妹は、憎しみ相手」とか、「仲
のよい兄弟ほど、よくけんかする」とか、など。さらに下の子どもが生まれると、本能的な嫉妬
心から、上の子どもが赤ちゃんがえりを起こしたり、下の子どもに陰湿かつ執拗(しつよう)ない
じめを繰り返すこともあります。

 しかし常識の範囲内の、ふつうの兄弟げんかなら、させたいだけさせます。子どもは兄弟げ
んかを通して、社会性を学び、問題解決の技法を学びます。互いのライバル心が、子どもどう
しを伸ばすこともあります。

 ただしいくつかのルールがあります。まず暴力に訴え始めたら、制止すること。次に互いの言
い分をよく聞きながらも、親側が判断をくだしたり、一方的に一方を責めたり、罰したりしないこ
とです。

 要するに「よき聞き役」になるということですが、たいていはそれで兄弟げんかはおさまりま
す。

ポイント6

勉強しない……勉強は楽しいものと思わせる

 子どもの勉強ぐせをそぐものに、次の四悪があります。無理、強制、条件、それに比較です。

 能力を超えた勉強を与えることを無理、時間を決めたりノルマを課し、それを強要すること
を、強制といいます。さらに「100点を取ったら、おこづかいを1000円あげる」というのが、条
件。「○○君は、もう小二の漢字が読めるのよ。あなたは読めないわね」というのが、比較で
す。条件づけが日常化すると、子どもは自分自身(「私は私」という考え方)を見失ってしまいま

す。

 ただ幼児の場合、勉強するとかしないとかいうことではなく、「勉強は楽しいものだ」という潜
在意識をつくることに心がけます。イギリスの格言にも、「楽しく学ぶ子どもは、よく学ぶ」という
のがあります。この時期、一度、勉強嫌いにしてしまうと、その後、立ち直るのが、たいへんむ
ずかしくなります。そのためにも四悪は避けます。

ポイント7

泣きやまない……ぼんやりする時間をふやし、ズキンシップを多くする

 子どもの泣き方にもいろいろあります。

 シクシク泣く、くやし泣き。サメザメ泣く、悲し泣き。グズグズ泣く、ぐずる泣き。ワーワー泣く、
訴え泣き。ギャーギャー泣く、ヒステリー泣きなど。また子どもにも、うつ症があります。ささいな
ことを気にして、いつまでも泣く、ジクジク泣いたりします。あるいは突発的に大声をあげて泣き
出したり、暴れたりすることもあります。ほかにかんしゃく発作による、キーキー泣きもありま
す。

 園や学校などで、いい子ぶり、ストレスをためやすい子どもほど、注意します。このタイプの子
どもの対処方法は、まず?一人でぼんやりとできる時間と場所を用意してあげること。家族の
人があれこれ気をつかうのは、かえって逆効果です。次に?カルシウム、マグネシウム分の多
い食生活にこころがけ、?やさしいスキンシップを大切にします。スキンシップには、人知を超
えた(?)不思議な力があります。魔法の力といってよいかもしれません。特に情緒が不安定な
子どもには、有効です。理由もなく、いつまでも泣き続けるようであれば、このスキンシップを濃
厚にしてみてください。

ポイント8

ものを大切にしない……ハングリーな子どもは伸びる

 ものを大切にしないというのは、いわゆるドラ息子(娘)症候群の一つですが、このタイプの子
どもが裕福な家庭の子どもばかりかというと、そうではないというのが、最近の傾向です。

 その背後には、飽食と甘やかしがあるわけですが、小子化がそれに拍車をかけます。子ども
が何かをほしがる前に、何でもホイホイと与えてしまう、などです。

 子どもの生活力を養う秘訣は、常に子どもをややハングリーな状態に置くことですが、家庭で
はこんなテストをしてみてください。紙とクレヨンを与え、「ここに魔法の木があります。あなたの
ほしいものが、何でもできる不思議な木です。木を描いて、あなたのほしいものをいっぱい描い
てみてください」と指示します。子どもが次々とほしいものを描けばよし。「ほしいものがない」と
か、何か一種類のものだけを描くようであれば、飽食を疑ってみます。生活力の旺盛な子ども
ほど、あらゆる方向に触覚が向いていて、その分だけ、ほしいものをいっぱいもっています。

ポイント9

言葉づかいが悪い……人前できちんと話せればよしとする

 子どもの口にフタをすることはできません。神様でもできません。つまり子どもの口が悪いの
は、当たり前。また言葉づかいが悪いからといって、それを責めても意味がありません。ムダ
です。むしろ悪い言葉も使えないほど、子どもを追いやってしまってはいけません。時にはお母
さんに向かって、「ババア」と言うこともありますが、ものを自由に言うということも、幼児の心の
発達には必要なのです。

 むしろ言葉で注意しなければならないのは、?正しい言葉であるか、?豊かな言葉である
か、です。「ジュース、ほしい」ではなく、「私はジュースを飲みたいです」と言えるかどうか。また
夕日を見たとき、ただ「わー、すごい、すごい」だけではなく、「美しい」「感動的」「ロマンチック
ね」と、いろいろな言葉で表現できるかどうか、です。こうした基本的な言葉能力は、家庭環
境、特に母親の言葉能力によるところが大きい、です。もしあなたの子どもの言葉能力が貧弱
であれば、子どもを責めるのではなく、あなた自身が反省すべきだということです。

ポイント10

テレビゲームばかりする……頭ごなしの禁止命令は避ける

 もう一〇年以上も前から、教育界では、この問題について大論争が続けられています。そし
てその結論は、「時代の流れには逆らわない」です。

 私が子どものころには、マンガの功罪がさかんに論じられていたように思います。一時は「マ
ンガ禁止令」まで出されたことがあります(岐阜県)。しかし当時すでに手塚治虫氏が活躍して
いましたから、今から思えば、ずいぶんと時代錯誤の禁止令だったと思います。

 ただマニアは別です。テレビゲームに夢中になるあまり、現実と空想の世界の区別がつかな
くなってしまったり、四六時中、そのことが頭から離れなくなったり……、というのは、もう「ゲー
ム」ではありません。ある男の子(小五)は、真夜中にまで起きて、一人でゲームをしていまし
た。こうなればやめさせます。

 ふつうは時間と場所を決めて許すとか、反射運動型のゲーム(指先の器用さだけを競うゲー

ム)は避けるという方法で対処します。

(注意)「テレビゲーム」の悪影響については、私がその後、あちこちの原稿で指摘しています。

ポイント11

おねしょ……マイナスは無視。プラスはほめる。

 最近の研究では、おねしょは、多尿症や頻尿症と並んで、大脳生理学の分野で、機能障害
の一つとして説明されるようになってきています。つまり叱ってもムダであるばかりか、かえって
症状をこじらせたり、長引かせたりしまいますから注意してください。よく毎晩、真夜中に子ども
を起こしてトイレへ連れていくというようなことをする人がいますが、子どもをかえって神経質に
してしまい、やはり逆効果です。

 ではどうするか? 子どものおねしょは、「ほめてなおす」です。つまりおねしょをした朝は、そ
れを無視。おねしょをしなかった朝は、それをほめるという方法です。そしてあとはあきらめま
す。

 あるお母さんは、「ようし、あと一、二年は覚悟するぞ。したければしなさい」と宣言しました

が、そう宣言したとたん、いつの間にかおねしょはなおってしまったそうです。

 おねしょというのはそういうものです。子どもにとっては、とても気持ちのよいもの(濡れたふと
んは別!)であることを、理解してあげてください。
 



常識 こわれる子どもの心 観察学習
内面化 無力感 神経性習癖
目標は、少しずつ 幼児教育は大学教育より奥が深い 「ちゃんと見てほしい」
「型」にこだわる日本人 「U」が二画? 左利きと右利き
エビでタイを釣る 私の意見に対する反論 子どもを伸ばす、こんな方法
チャンス 教育と医学 『ソフィの選択』
面接で得する子ども、損する子ども 意識の違い じゃんけん
熱くなる頭 目で見える世界 江戸時代の亡霊 
参観 生意気な子ども 固い粘土は伸びない
母親は、息子の友人が成功すると、ねたむ。 いじめの陰に嫉妬 依存性
依存心をもたせるのは卑怯(ひきょう) 依存心をもつ子どもたち 再び、日本型の子育て論
子どもに求めない 親であることのきびしさ ある男性の追跡観察から……
世間のわずらわしさ 心の貧しい人たち 他人を喜ばす喜び
親子の触れあい 「?」の親論 加熱する受験競争
考える人、考えない人 子どもの叱り方 子どもの褒め方
叱り方・ほめ方は、家庭教育の要(かなめ) こんな怒り方は、がまんのし方は、子どもを、ダメにする EQとは……
IQの高い子どもは、誤解されやすい  EQは、思春期までに完成される 受験勉強
私は、どんな親か? 日本の教育改革 おじいちゃん、おばあちゃんへ
先祖と子孫 昔にしがみつく人たち 信仰
住環境と、子どもの騒々しさについて 夫婦の危機 基底不安
人格の未熟性 返礼の法則 これからの老人たちよ、少し、考えよう!
子育てポイント いくつかの提案 親を美化する人 権威主義
親を見抜く きびしい親の世界 親は親で、前向きに
日本の問題 欲望VSコントロール 正直に生きる(PART?)
小六の子どもたちの会話 エリート意識 強情な子ども

情報・画像の出展:はやし浩司先生

※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。


【はやし浩司先生のプロフィール】

はやし浩司先生1947年岐阜県生まれ。

金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。

独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。

現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。

●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。

うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。

「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。

●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。

●現在は、インターネットを中心に活動中。

メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、

電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。

「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。

(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)

過去の代表的な著書

子育て格言ママ100賢1子育て格言ママ100賢子育て格言ママ100賢子育てはじめの一歩

子どもの心・100の育て方目で見る漢方診断クレヨンしんちゃん 野原家の子育て論子育てストレスが子どもをつぶす

ドラえもーん・野比家の子育て論 子育て最前線のあなたへ受験に克つ子育て法ポケモン・カルト―あなたの子どもがあぶない!

・・・などなど30冊余り出版されています。