「嫉妬は心を歪める」 はやし浩司先生の育児・教育指導
嫉妬心と闘争心。
これら二つの感情は、おそらく人間がきわめて下等な生物であったときからもっていた原始的な感情ではないか。この二つをいじると、子どもの心はゆがむ。
とくに嫉妬心は、人間をして、えてして常識ハズレの行動へとかりたてる。
たとえばいじめ。
陰湿ないじめが、長期間にわたって続くときは、この嫉妬を疑ってみる。
いろいろなケースがある。K子さん(小4)は、学校で、陰湿なもの隠しに苦しんでした。
かばんや上履きなどは言うにおよばず、教科書やノート、運動着さらには通知表まで隠された。
そのためK子さんと母親は、転校まで考えていた。が、ひょんなことから、その犯人(こういう言い方は好きではないが……)がわかった。
そのもの隠しをしていたのは、そのK子さんの一番の親友と思われていた子どもだった。
その子どもは、いつもK子さんの心配をしながら、最後の最後までいっしょになくなったものをさがしてくれていたという。
K子さんは背も高く、頭もよかった。
学校でもたいへん目立つ子どもだった。
一方、そのもの隠しをしていた子どもは、背も低く、器量も悪かった。そんなところにその子どもが嫉妬する理由があったのかもしれない。
またこんなことも。
Oさん(中2女子)も、同じようにもの隠しに悩んでいた。
私に相談があったので、私はその母親にこう聞いた。
「Oさんの一番そばにして、親友と思われる子どもはだれですか?」と。
する母親はこう言った。「そう言えば、毎朝、娘を迎えにきてくれる子がいます」と。
私はその子どもをまず疑ってみるべきだと話したあと、母親にこう言った。
「明日その子が迎えにきたら、その子の目をしっかりと見て、『おばさんは何でも知っていますからね』とだけ言いなさい」と。
その母親は翌日、私が言ったとおりにしたが、その日を境に、Oさんのまわりでのもの隠しは、ピタリとなくなった。
つぎに闘争心だが、いわゆる動物的な、かつ攻撃的な闘争心は、幼児期はできるだけ避ける。
幼児期は「静かな心」づくりを大切にする。
この時期に一度、攻撃的な闘争心(興奮状態になって、見境なく相手を暴力で攻撃するという闘争心)が身につくと、それをなおすのは容易ではない。
スポーツの世界では、こうした闘争心がもてはやされることもある。
たとえばサッカーなどでも、能力というよりも、攻撃心の強い子どもほど、よい成績をあげたりする。
ある程度の攻撃心は、子どもを伸ばすのに必要だが、幼児期にはそれにも限度があるのでは……?
もっともこれ以上のことは、親自身の判断と方針に任せるしかない。
それがよいと思う人は、そうすればよいし、それが悪いと思う人は、やめればよい。
あくまでも参考意見の一つと考えてほしい。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー4
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。