「ゆがんだ自然観」 はやし浩司先生の育児・教育指導
もう40年以上も前のことだが、こんな詩を書いた女の子がいた(大阪市在住)。
「夜空の星は気持ち悪い。ジンマシンのよう。小石の見える川は気持ち悪い。ジンマシンのよう」と。
この詩はあちこちで話題になったが、基本的には、この「状態」は今も続いている。
小さな虫を見ただけで、ほとんどの子どもは逃げ回る。
落ち葉をゴミと考えている子どもも多い。
自然教育が声高に叫ばれてはいるが、どうもそれが子どもたちの世界までそれが入ってこない。
「自然征服論」を説いたのは、フランシスコ・ベーコンである。
それまでのイギリスや世界は、人間世界と自然を分離して考えることはなかった。
人間もあくまでも自然の一部に過ぎなかった。
が、ベーコン以来、人間は自らを自然と分離した。
分離して、「自然は征服されるもの」(ベーコン)と考えるようになった。
それがイギリスの海洋冒険主義、植民地政策、さらには1740年に始まった産業革命の原動力となっていった。
日本も戦前までは、人間と自然を分離して考える人は少なかった。
あの長岡半太郎ですら、「(自然に)抗するものは、容赦なく蹴飛ばされる」(随筆)と書いている。
が、戦後、アメリカ型社会の到来とともに、アメリカに伝わったベーコン流のものの考え方が、日本を支配した。その顕著な例が、田中角栄氏の「列島改造論」である。
日本の自然はどんどん破壊された。埼玉県では、この40年間だけでも、30%弱の森林や農地が失われている。(2000年当時)
自然教育を口にすることは簡単だが、その前に私たちがすべきことは、人間と自然を分けて考えるベーコン流のものの考え方の放棄である。
もっと言えば、人間も自然の一部でしかないという事実の再認識である。
さらにもっと言えば、山の中に道路を一本通すにしても、そこに住む動物や植物の了解を求めてからする……というのは無理としても、そういう謙虚さをもつことである。
少なくとも森の中の高速道路を走りながら、「ああ、緑は気持ちいいわね。自然を大切にしましょうね」は、ない。そういう人間の身勝手さは、もう許されない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー3
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。