「家庭教育の誤解」 はやし浩司先生の育児・教育指導
(1) 忍耐力……よく「うちの子はサッカーだと一日中している。
ああいう力を勉強に向けさせたい」という親がいる。
しかしこういう力は忍耐力とは言わない。
好きなことをしているだけ。
子どもにとって忍耐力というのは、「いやなことをする力」をいう。
たとえば台所の生ゴミを手で始末するとか、風呂場の排水口にたまった毛玉を始末するとか、そういうことができる子どもを忍耐力のある子どもという。
(2) やさしさ……公園でブランコを横取りされたとする。
そういうときニッコリと笑いながら、そのブランコを明け渡すような子どもを、「やさしい子ども」と考えている人がいる。
しかしこれも誤解。
このタイプの子どもは、それだけ」ストレスをためやすく、いろいろな問題を起こす。
子どもにとって「やさしさ」とは、いかに相手の立場になって、相手の気持ちを考えられるかで決まる。
もっと言えば、相手が喜ぶように自ら行動する子どもを、やさしい子どもという。
そのやさしい子どもにするには、買い物に行っても、いつも、「これがあるとパパが喜ぶわね」「これを買ってあげるから、妹の○○に半分分けてあげてね」と、日常的にいつもだれかを喜ばすようにしむけるとよい。
(3) まじめさ……従順で、言われたことをキチンとするのを、「まじめ」というのではない。
まじめというのは、自己規範のこと。
こんな子ども(小3女子)がいた。
バス停でたまたま会ったので、「缶ジュースを買ってあげようか」と声をかけると、こう言った。
「これから家で夕食を食べますから、いらない。缶ジュースを飲んだら、ごはんが食べられなくなります」と。
こういう子どもを「まじめな子ども」という。
(4) すなおさ……やはり言われたことに従順に従うことを、「すなおな子ども」と考えている人は多い。
しかし教育の世界で「すなおな子ども」というときは、心の状態(情意)と、顔の表情が一致している子どもをいう。
怒っているときには、怒った顔をする。
悲しいときには悲しい顔をする、など。
情意と表情が一致しないことを、「遊離」という。
子どもにとっては、たいへん望ましくない状態と考えてよい。
たとえば自閉傾向のある子どもがいる。
このタイプの子どもの心は、柔和な表情をしたまま、まったく別のことを考えていたりする。
(5) がまん……子どもにがまんさせることは大切なことだが、心の問題とからむときは、がまんはかえって逆効果になるから注意する。
たとえば暗闇恐怖症の子ども(3歳児)がいた。
子どもは夜になると、「こわい」と言ってなかなか寝つかなかったが、父親はそれを「わがまま」と決めつけて、いつも無理に寝させていた。
がまんさせるということは、結局は子どもの言いなりにならないこと。
そのためにも 親側に、一本スジのとおったポリシーがあることをいう。そういう意味で、子どものがまんの問題は、決して子どもだけの問題ではない。
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情報・画像の出展:はやし浩司先生
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。