「互いに別世界」 はやし浩司先生の育児・教育指導
世間体や見栄、体裁がいかにくだらないものかは、その世界から離れてみるとよくわかる。
しかしその世界の中にいる人には、それがわからない。それはいわば信仰の世界のようなもの。
その信仰の世界にいる人には、その信仰の世界がすべて。
その信仰の世界の外の世界そのものが信じられない。
あるいはその信仰の外の世界が、まったく無意味に見える。が、その信仰も一度離れてみると、「どうしてあんなものを信じていたのだろう」と思うもの。どんな信仰にも、そういう面がある。
「私の信じている信仰だけは違う」と思いたい気持ちはわかるが、現に今、この日本だけでも約20万団体もの宗教団体があり、それぞれが、「自分たちのこそが絶対正しい」と言って、しのぎを削っている。
20万という数は全国の美容院の数とほぼ同じ。
子育ての世界でも、同じような現象を見ることができる。
たとえば自分の子どもが不登校を起こしたりすると、たいていの親はその世間体の悪さ(何も悪くはないのだが……)、その事実を必死になって隠そうとする。
自分の子育てそのものを否定されたかのように感ずる親も多い。
しかしそういう世界から抜け出て、いつか不登校の子どもと一緒に街の中を歩くことができるようになると、それまでの自分が、限りなく小さく見えてくる。
「どうしてあんなことを気にしていたのだろう」と。
つまりまったく別の世界に入るわけだが、それがここでいうひとつの信仰から、その外の世界に出た人の心境に似ている。離れてみると、何でもなかったことに気づく。
ここで大切なことは、二つある。
一つは、自分の中の信仰に気づくこと。つぎに大切なことは、勇気を出してその信仰の世界から遠ざかること。
「勇気を出して」というのは、実際、一つの信仰から離れるということは、勇気がいる。
まず心に大きな穴があく。この穴がこわい。それはものすごい空虚感といってもよい。人によっては、混乱を通り越して、狂乱状態になる。
たとえばたいていの宗教では、とくにカルトと呼ばれている宗教ほどそうだが、バチ論をその背後で展開している。「この信仰をやめたらバチがあたる」と教えている宗教団体は少なくない。だからよけいに、勇気がいる。
同じように、世間体や見栄、体裁の中で生きてきた人も、それらから決別するとき、大きく混乱する。
そういうもので、自分の価値観をつくりあげているからだ。
人生の柱にしている人も少なくない。だから勇気がいる。しかし……。
仮に信仰するとしても、自分の理性まで眠らせてしまってはいけない。
何が正しくて、何が正しくないかを、いつも冷静に判断しなければならない。
おかしいものはおかしいと思う、理性まで眠らせてはいけない。
子育てもまさにそうで、私たちは親として子どもを育てるが、そういう冷静な目は、いつももっていなければならない。
でないと、よく信仰者が自分を見失うように、親も子どもを見失うことになる。
●依存性の二つの側面 | ●親は子で目立つ |
●赤ちゃん言葉 | ●臥薪嘗胆(がしんしょうたん) |
●依存心と人格 | ●親は外に大きく |
●心の風邪……いかにして「無」になるか | ●互いに別世界 |
●自分を知る | ●バカなフリをして、子どもを自立させる |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。