「早期教育と先取り教育」 はやし浩司先生の育児・教育指導
よく誤解されるが、早期教育が悪いのではない。
悪いのは「やり方」である。たとえば極端な例として、胎教がある。
まだおなかの中にいる赤ちゃんに、何らかの教育をほどこすというのが胎教だが、胎教そのものよりも、悪いのは、そうした母親の姿勢そのもの。
まだ子どもが望みもしないうちから(望むわけがないが……)、親が勝手に教育を始める。
子どもの意思など、まったく無視。
こういうリズムは一度できると、それがずっと子育てのリズムになってしまう。それが悪い。
まだ子どもが興味をもたないうちから、ほら数だ、ほら文字だとやりだす。
最近はやっている英語教育もそうだ。
こうしたやり方は、子どもに害になることはあっても、プラスになることは何もない。
またたいていの親は、小学校でするような勉強を、先取りして教えるのを早期教育と誤解している。
年中児に漢字を教えたり、掛け算の九九を覚えさせたりするなど。
もっとも漢字をテーマにすることは悪いことではない。
漢字を複雑な図形ととらえると、漢字はおもしろいテーマとなる。
それをつかった応用はいくらでもできる。
私もよく子どもたちの前で、漢字を見せるが、漢字を教えるのではなく、漢字のおもしろさを教える。
ここに先取り教育と、早期教育の違いがある。
ただこの日本では、「知識や知恵をつけさせるのが教育」ということになっている。
そして早期教育とは、知識や知恵をつけさせることだと多くの親は思っている。
これは誤解というよりも、世界の常識からは大きくかけ離れている。
幼児教育が大学教育より重要であり、奥が深いことは、私にはわかる。
それを認めるかどうかは、幼児教育への理解の深さにもよる。
たいていの人は、幼児イコール幼稚、さらに幼稚な教育をするのが、幼児教育と思い込んでいる。
しかしこれは誤解である。……というようなことを書いてもしかたないが、その幼児教育をすることは、これは早期教育でも、先取り教育でもない。
この時期、人間の方向性が決まる。
その方向性を決めるのが、幼児教育ということになる。
その幼児教育が必要か必要でないかということになれば、そういった議論をすること自体、バカげている。
こみいった話になったが、幼児の教育を考えるときは、早期教育、先取り教育、それに幼児教育の3つは、分けて考えるとよい。
混同すればするほど、子どもの教育が見えなくなる。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー11
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。