「案ずるより産むがやすし」 はやし浩司先生の育児・教育指導
心配性の親というのは、たしかにいる。
しかし「心配性」というのは、不安神経症のことか。
さらにはうつ病の「不安発作」ということも考えられる。感情のコントロールができなければ、感情障害ということにもなる。
このタイプの親は頭の中でつぎつぎと不安のタネをつくり、そしてそれを限りなく増大させる。「被害妄想」という言葉があるが、まさにその妄想のウズに巻き込まれてしまう。
あるとき一人の母親が私のところへ来て、こう相談した。
何でも幼稚園の下の階が、炊事室になっているという。
その母親の子どもの教室がその真上にあって、「火事にでもなったら、たいへん」と。
その幼稚園には避難用として一応、大きなスベリ台が二階から地上へとつながっているが、「それでは不安だ」とも。
私が「幼稚園は一応どこも、消防署の検査を受けているはずです」と言ったが、それでも納得しなかった。
「地震のときはどうなのか」とか「子どもがスベリ台をこわがったらどうするのか」と。こんな母親もいた。
息子がアメリカへ1年間留学することになったという。
それについて、「心配で夜も眠られない」と。
その母親はアメリカで何か事件が起きると、すべてアメリカ中で同じような事件が起きていると思ってしまうらしい。
そこで私が「テキサス州といっても、日本の二倍の広さがあります」「インドネシアで地震があると、日本も壊滅状態になったと考えるアメリカ人も少なくありません。
それと同じことです」と説明したが、やはり納得しなかった。
アジア全域を含めても、アメリカ大陸より小さい。
愉快だった(失礼!)だったのは、たまたまその母親はブルースウィルスの「ダイハード」という映画を見たらしい。
その映画を例にとって、「アメリカは恐ろしい国ですから」と。(もしそんな心配をするなら、ビートたけしの「バトルロワイヤル」を見て、「これが日本の中学校だ」と思うようなものだが……。)ともかくも、心配する人は、そこまで心配する。
そこで格言。「案ずるより産むがやすし」。
ここでいう意味とは少しはずれるかもしれないので、この格言を少し言いかえるとこうなる。
「案ずるより任すがやすし」と。子どもというのは、親の心配の外で成長するもの。
心配したからといってどうにもならない。心配しないからといって、どうにかなるものでもない。子育てにはこうした心配はつきもの。
そういう意味で、子育てというのはいつも自分との戦い。自分が心配だからといって、その心配を子どもにぶつけてはいけない。ぶつけるというのは、それはもう親のエゴでしかない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー10
NO’217〜NO’240
●新居の関所 | ●一芸論 |
●便利な世界 | ●一芸は聖域 |
●案ずるより産むがやすし | ●フリ勉、ダラ勉、時間ツブシ |
●威圧で閉じる子どもの耳 | ●勉強が苦手な子ども |
●よい子論 | ●「今」の価値を忘れない |
●子どもの家出 | ●ええじゃないか |
●現場主義 | ●子どもの創造力 |
●子どもの意地 | ●習うより慣れる |
●子どもの自我 | ●子どもの嫉妬 |
●いじめられっ子は徳をつむ? | ●子どもの闘争心 |
●ホームスクール | ●権威主義者 |
●いたずらとジョーク | ●無限ループの世界 |
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
NO’25〜NO’48 | NO’97〜NO’120 | NO’169〜NO’192 |
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。