「知識はメッキ」 はやし浩司先生の育児・教育指導
私も法律の勉強を、五年間もした。
私にとっては、おもしろくない勉強だった。
いくつかの資格はとったが、卒業後、その資格を生かしたことはただの一度もない。で、それから30年。
同窓会に出て、法曹の道に進んだ仲間と話しても、会話がうまくかみあわない。つまりそれだけ「法律」とは遠ざかってしまったということ。専門用語を忘れてしまったということもある。
では、私の法律の勉強がムダだったのかというと、そうでもない。
ものの考え方というか、論理的に思考を積み重ねていくクセだけは残った。
反対によく雑誌などで他人の教育論を読んだりするが、ときどきあまりの論理性のなさに、驚くことがある。中には感情論だけで教育論を組み立てている人がいる。つ
まりそういうことがわかるということは、やはり私が法律の勉強をしたためとみてよい。
あのアインシュタイン(1879〜1955、ドイツの物理学者)は、こう言っている。
「教育とは、学校で習ったことをすべて忘れ去ったあとに残っているものをいう」(「教育について」)と。
学校で習ったことを忘れたからといって、教育がムダだったということにはならない。
むしろ「忘れる」ことを理由に、教育を否定する人のほうが、問題だ。……と言っても、知識教育をそのまま肯定することもできない。
知識そのものは、生きるための武器であり、ないよりはあったほうがよい。
しかし知識が多いからといって、アインシュタインが言うところの、「あとに残っているもの」になるとは限らない。大切なのは、その中身であり、思考プロセスということになる。
こうした前提で、子どもの教育を考えると、教育がどうあるべきかがわかってくる。
たとえばこんなことがある。
中学生に教えているとき、その子どもがもっている能力のほんの少し先の問題を出してみると、ただ「できない」「わからない」「まだ習ってない」とこぼし、自分では考えようともしない子どもがいる。
が、反対にあちこちテキストを見ながら、調べ始める子どもいる。
この時点で重要なことは、「その問題が解ける、解けない」ということではない。
「解くためにどのような思考プロセスを働かすか」ということである。
もちろん「できない」とこぼす子どもより、調べだす子どものほうがすばらしい。またそういう方向に子どもを導くのが、教育ということになる。
教えられてできるようになるのが、知識教育。
しかしそれで得た知識は、メッキのようなもの。時間がたてば、必ずはげる。
しかし思考プロセスは残る。
残ってあらゆる場面で、それが働くようになる。たとえば私のことだが、先に書いたように、いつもものごとを論理的に考えるクセだけは残った。
こういった文章を書くについても、あいまいな言い方だけはしていないつもりである。あいまいなことは書かないというよりも、書く前に筆を止めてしまう。
自分なりに結論が出た部分のみを書くようにしている。それが私が学生時代に受けた「教育」ということになる。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー7
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。