「反面教師」 はやし浩司先生の育児・教育指導
反面教師という言葉がある。
できの悪い教師をもった生徒が、そのできの悪さを見ながらかえって成長するということをいったものだが、これはそのまま「親」にも当てはまる。
いろいろな親がいたが、その中でもとくに印象に残っているのが、K君(高1)だった。
彼は現役で医学部に推薦入学で入ったほどの能力をもっていたが、あとでK君の家を見て驚いた。
家といっても、駐車場の奥の一室だけ。
ベニヤ板で二つに分けただけの部屋だった。しかも母親はいない。
父親はアル中で、毎晩のように酒を飲み、ときにはK君に暴力を振るっていたという。
こういう極端な例は少ないとしても、あなたの身のまわりにも、似たような話はあるはずだ。
たとえばH君。
彼は中学を卒業するころ、父親とおおげんか。そのまま家出。
12年ほど音信がなかったが、その12年目のこと。
一級建築士の免許をとって実家へ帰ってきたという。
大検で高卒の資格をとり、鉄工場に勤めながら免許を取得した。
その彼の父親も、とても「親」と言えるような親ではなかった。
もう一人の娘がいたが、娘の貯金通帳を盗み、勝手にお金を引き出してしまったこともある。
K君もH君も、こうした親をもったがゆえに、それをバネとして前に伸びたわけだが、だからといってそういう環境が好ましいということにはならない。
第一、皆が皆、伸びるわけではない。
失敗する可能性のほうが、はるかに高い。それに「教師」と言いながら、反面教師をもったがために、心に大きなキズをのこすこともある。
ふつう不安定な家庭環境に育つと、子どもの情緒は不安定になり、それが転じて、いろいろな神経症を引き起こすことが知られている。ひどくなると、それが情緒障害や精神障害になることもある。
私も「温かい家庭」へのあこがれは強いものの、実際のところそれがどういうものか、よく知らなかった。
戦後の混乱期のことで、私の親にしても食べていくだけで精一杯。
家族旅行など、小学6年生になるまで、一度しかなかった。
その上私の父はアル中で、数日おきに酒を飲んで暴れた。
そのためか今でも、何か心配ごとが重なったりすると、極度の不安状態になったりする。
しかしこういうことは、本来あってはいけない。
また子どもにそういうキズをつけてはいけない。たとえそれでその子どもが、俗にいう「立派な子ども」になったとしても、だ。
もう一つこんな例もある。高校生のとき、古文の教師の声が小さく、聞き取ることができなかった。それで古文の勉強は、自分ですることにした。結果、私はほとんどの古文を全集で読みきるほどまで古文が好きになった。そういう反面教師もいる。これはあくまでも余談だが……。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー7
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。