「子どもの一芸論」 はやし浩司先生の育児・教育指導
Sさん(中1)もT君(小3)も、勉強はまったくダメだったが、Sさんは、手芸で、T君は、スケートで、それぞれ、自分を光らせていた。
中に「勉強、一本!」という子どももいるが、このタイプの子どもは、一度勉強でつまずくと、あとは坂をころげ落ちるように、成績がさがる。
そういうときのため、……というだけではないが、子どもには一芸をもたせる。
この一芸が、子どもを側面から支える。あるいはその一芸が、その子どもの身を立てることもある。
M君は高校へ入るころから、不登校を繰り返し、やがて学校へはほとんど行かなくなってしまった。
そしてその間、時間をつぶすため、近くの公園でゴルフばかりしていた。が、一〇年後。
ひょっこり私の家にやってきて、こう言って私を驚かせた。「先生、ぼくのほうが先生より、お金を稼いでいるよね」と。彼はゴルフのプロコーチになっていた。
この一芸は作るものではなく、見つけるもの。
親が無理に作ろうとしても、たいてい失敗する。Eさん(2歳児)は、風呂に入っても、平気でお湯の中にもぐって遊んでいた。
そこで母親が、「水泳の才能があるのでは」と思い、水泳教室へ入れてみた。
案の定、Eさんは水泳ですぐれた才能を見せ、中学2年のときには、全国大会に出場するまでに成長した。S君(年長児)もそうだ。
父親が新車を買ったときのこと。
S君は車のスイッチに興味をもち、「これは何だ、これは何だ」と。
そこで母親から私に相談があったので、私はS君にパソコンを買ってあげることを勧めた。
パソコンはスイッチのかたまりのようなものだ。
その後S君は、小学3年生のころには、ベーシック言語を、中学一年生のころには、C言語をマスターするまでになった。
この一芸。
親は聖域と考えること。
よく「成績がさがったから、(好きな)サッカーをやめさせる」と言う親がいる。
しかし実際には、サッカーをやめさせればやめさせたで、成績は、もっとさがる。一芸というのは、そういうもの。
ただし、テレビゲームがうまいとか、カードをたくさん集めているというのは、一芸ではない。ここでいう一芸というのは、集団の中で光り、かつ未来に向かって創造的なものをいう。「創造的なもの」というのは、努力によって、技や内容が磨かれるものという意味である。
そしてここが大切だが、子どもの中に一芸を見つけたら、時間とお金をたっぷりとかける。
そういう思いっきりのよさが、子どもの一芸を伸ばす。
「誰が見ても、この分野に関しては、あいつしかいない」という状態にする。
子どもの立場で言うなら、「これだけは絶対に人に負けない」という状態にする。
一芸、つまり才能と言いかえてもいいが、その一芸を見つけるのは、乳幼児期から四、五歳ごろまでが勝負。この時期、子どもがどんなことに興味をもち、どんなことをするかを静かに観察する。
それを判断するのも、家庭教育の大切な役目の一つである。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー7
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。