「赤ちゃんがえりを甘く見ない」 はやし浩司先生の育児・教育指導
幼児の世界には、「赤ちゃんがえり」というよく知られた現象がある。
これは下の子ども(弟、妹)が生まれたことにより、上の子ども(兄、姉)が、赤ちゃんにもどる症状を示すことをいう。
本能的な嫉妬心から、もう一度赤ちゃんを演出することにより、親の愛を取り戻そうとするために起きる現象と考えるとわかりやすい。
本能的であるため、叱ったり説教しても意味はない。
子どもの理性ではどうにもならない問題であるという前提で対処する。
症状は、おもらししたり、ぐずったり、ネチネチとわけのわからないことを言うタイプと、下の子どもに暴力を振るったりするタイプに分けて考える。
前者をマイナス型、後者をプラス型と私は呼んでいるが、このほか情緒がきわめて不安定になり、神経症や恐怖症、さらには原因不明の体の不調を訴えたりすることもある。
このタイプの子どもの症状はまさに千差万別で定型がない。
月に数度、数日単位で発熱、腹痛、下痢症状を訴えた子ども(年中女児)がいた。
あるいは神経が異常に過敏になり、恐怖症、潔癖症、不潔嫌悪症などの症状を一度に発症した子ども(年中男児)もいた。
こうした赤ちゃんがえりを子どもが示したら、症状の軽重に応じて、対処する。
症状がひどいばあいには、もう一度上の子どもに全面的な愛情をもどした上、1からやりなおす。
やりなおすというのは、一度そういう状態にもどしてから、1年単位で少しずつ愛情の割合を下の子どもに移していく。コツは、今の状態をより悪くしないことだけを考えて、根気よく子どもの症状に対処すること。
年齢的には満四〜五歳にもっとも不安定になり、小学校入学を迎えるころには急速に症状が落ち着いてくる。(それ以後も母親のおっぱいを求めるなどの、残像が残ることはあるが……。)
多くの親は子どもが赤ちゃんがえりを起こすと、子どもを叱ったり、あるいは「平等だ」というが、上の子どもにしてみれば、「平等」ということ自体、納得できないのだ。
また嫉妬は原始的な感情の一つであるため、扱い方をまちがえると、子どもの精神そのものにまで大きな影響を与えるので注意する。
先に書いたプラス型の子どものばあい、下の子どもを「殺す」ところまでする。嫉妬がからむと、子どもでもそこまでする。
要するに赤ちゃんがえりは甘くみてはいけない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
NO’97〜NO’120
NO’1〜NO’24 | NO’73〜NO’96 | NO’145〜NO’168 |
NO’25〜NO’48 | NO’97〜NO’120 | NO’169〜NO’192 |
NO’49〜NO’72 | NO’121〜NO’144 | NO’193〜NO’216 |
NO’217〜NO’240 | NO’241〜NO’264 | NO’265〜NO’282 |
NO’283〜NO’292 |
情報・画像の出展:はやし浩司先生
※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。
【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。