「個性とは」 はやし浩司先生の育児・教育指導
「私は私」という生きざまを貫くことを、個性という。
しかしこの日本にはそれを支えるだけの土壌がまだない。
社会のしくみそのものもそうだ。昨年(2001年)、東京に「フリーター撲滅運動」なるものを始めた高校の校長がいた。
「撲滅」というのは、「たたきのめして滅ぼす」という意味だ。
高校の校長という、きわめて恵まれた環境、つまり酸素もエサも自動的に与えられる水槽のような世界に住んでいる人が、そういうことを言うからおかしい。
私はそのフリーターを、もう40年近くもしてきた。たしかに社会的に不利だが、不利なのは、社会の制度がそれだけ不公平だからにほかならない。
教育もまた、個性を伸ばすしくみになっていない。
たとえば全国の小学校で英語教育が実験的になされているが、いまだに「すべきかどうか」で議論している。その議論はちょうど平成元年のころ議論が始まったから、もう20年以上になるのでは……?
しかし北海道のハシから沖縄県のハシまで同じ教育というのはおかしい。
英語についていえば、英語教育が必要だと思う親もいれば、そうでないと思う親がいる。
英語を学びたいと思っている子どももいれば、そうでないと思っている子どももいる。
英語教育をしたいと思っている教師もいれば、そうでない教師もいる。
だったら、そういうのは、個人の選択に任せればよい。その分学校を早く終わって、ドイツのように子どもたちはクラブへ行けばよい。
こうした実用的な教育は民間に任せたほうが、はるかに効率よくいく。
またこういうのを教育の自由化、あるいは規制緩和というのではないのか。
学校の先生にしても、教育はもちろんのこと、しつけから心のケア、さらには家庭問題まで、こうまで押しつけられたらたまらない。……と思っていると思う。ある小学校の教師はこう言った。
「忙しすぎて、授業中だけが休みの場所です」と。
「子どもの個性を伸ばせ」と簡単に言うが、ではあなた自身が、そういう個性を認めているかどうかというと疑わしい。あるいは個性というのがどういうものか、本当にわかっているだろうか。
さらにあなたは「私は私」という生き方をしているだろうか。私たちは尾崎豊の言葉を借りるなら、「しくまれた自由」(「卒業」)の中で、あがきもがいているだけではないのか。
個性とは生きざまの問題。
「私は私」という生きざまをどう確立するかで、その人の個性が決まる。
くだらないことだが、子どもの髪の毛を茶パツに染めたりすることは、個性とはいわない。
また個性というのは、そのレベルの問題ではない。
またどこか常識ハズレのことをするのを個性と思っている人は多い。
しかし個性というのは、繰り返すが、どこまでも生きざまの問題であって、行動の問題ではない。またそのレベルの問題ではない。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。