「受験競争の魔力」 はやし浩司先生の育児・教育指導
受験競争に巻き込まれれば巻き込まれるほど、子どもはもちろんのこと、親もその住む世界を小さくする。この世界では、勝った負けたは、当たり前。取るか取られるか、蹴落とすか蹴落とされるか……。教育とは名ばかり。その底流では、ドス黒い人間の欲望がはげしくウズを巻いている。ある母親は受験どころか、子ども(中学生)がテスト週間を迎えるたびに病院通いをしていた。
いわく「テスト中は、お粥しかのどを通りません」と。子どもの受験競争が高じて、親どうしがいがみあう例となると、まさに日常茶飯事。幼稚園という世界でも、珍しくない。現に今、言ったの言わないのがこじれて、裁判ザタになっているケースすらある(小学校)。さらに息子(中3)が高校受験に失敗したあと、自殺をはかった母親だっている!
こうした狂騒は部外者が見ると、バカげているとわかるが、当の本人たちはそうでない。それはまさしく命がけ、血みどろの戦い。もっともこうした戦いが親の世界だけでとどまっているならまだしも、子どもの世界まで巻き込んでしまう。さらに学校という教育の世界まで巻き込んでしまう。この受験競争だけが原因とは言えないが、そのため心を病む教師はあとを断たない。
東京都の調べによると、東京都に在籍する約6万人の教職員のうち、新規に病気休職した人は、93年度から4年間は毎年210人から220人程度で推移していたが、97年度は、261人。さらに98年度は355人にふえていることがわかった(東京都教育委員会調べ・九九年)。
この病気休職者のうち、精神系疾患者は。93年度から増加傾向にあることがわかり、96年度に一時減ったものの、97年度は急増し、135人になったという。この数字は全休職者の約52%にあたる。(全国データでは、97年度は休職者が4171人で、精神系疾患者は、1619人。)さらにその精神系疾患者の内訳を調べてみると、うつ病、うつ状態が約半数をしめていたという。
何だかんだといっても、受験が教育の柱になっている。もしこの日本から、受験という柱を抜いたら、進学塾はもちろんのこと、学校教育ですら崩壊する。問題はなぜ受験が教育の柱になっているかだが、それについては別のところで考えるとして、結論から先に言えば、受験が子どもや親を大きくする要素などどこにもない。仮にそれに打ち勝ったとしても、「何とかうまくやった」というあと味の悪さが残るだけ。
受験競争は決して教育ではない。そういう前提で、一歩退いてつきあう。そういう冷静さがあなたの心を守り、あなたの子どもの心を守る。
はやし浩司先生の育児・幼児教育コーナー5
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。