適切な幼児教育は後の人間形成において大変重要であると考えていますが注意していただきたいことがあります。
幼児教育は完璧な育児や教育を推奨するものではないということです。
・愛情が第一を忘れない
・他の子どもと比較をしない
・完璧主義にならない
・結果を期待しすぎない
・ゆったりとした心を持つ
子どもへの過剰な期待は親子共に大きなストレスになる危険性あります。
ゆったりと構え、少しくらい上手くいかなくても「まぁ、いっか。」に考えられることが幼児教育を続けられるポイントになります。
「回顧性と展望性」について はやし浩司先生の子育て随筆
過去をかえりみることを、「回顧」という。未来を広く予見渡すことを、「展望」という。
概して言えば、若い人は、回顧性のハバが狭く、展望性のハバが広い。老人ほど、回顧性のハバが広く、展望性のハバが、狭い。
幼児期から少年、少女期にかけて、展望性のハバは広くなる。数日単位でしか未来を見ることができなかった子どもでも、成長とともに、数か月後、数年後の自分を見渡すことができるようになる。つまりそのハバを広げていく。
言いかえると、展望性と回顧性のバランスを見ることによって、その人の精神年齢を知ることができる。つまり未来に夢や希望を託す度合が、過去をなつかしむ度合より大きければ、その人の精神年齢は、若いということになる。そうでなければ、そうでない。
ある女性(八〇歳くらい)は、会うと、すぐ、過去の話をし始める。なくなった夫や、その祖父母の話など。こうした行為は、まさに回顧性の表れということになるが、こうした回顧性は、老人の世界では、ごくふつうのこと。広く見られる。
一方、若い人は、未来しかみない。時間は無限にあり、その未来に向かうエネルギーも、永遠のものだと思う。それは同時に、若さの特権でもあるが、問題は、そのハバである。
自分の未来を、どの範囲まで、見ているか?
一年後はともかくも、二〇年後、三〇年後は、見ているか?
いくら展望性があるといっても、それが数か月どまりでは、どうにもならない。「明日も何とかなる」では、どうにもならない。
そこで、このことをもう少しわかりやすくまとめてみると、こうなる。
(1) 回顧性と展望性のハバが広い人……賢人
(2) 回顧性のハバが広く、展望性のハバが狭い人……老人一般
(3) 回顧性のハバが狭く、展望性のハバが広い人……若い人一般
(4) 回顧性と展望性のハバが狭い人……愚人
(1)〜(3)は、比較的、わかりやすい。問題は(4)の愚人である。
過去を蹴(け)散らし、その場だけの享楽に身を燃やす人は、ここでいう愚人ということになる。
このタイプ人は、過去に対して、一片の畏敬(いけい)の念すらない。同時に、明日のこともわからない。気にしない。その日、その日を、「今日さえよければ」と生きる。健康も、またしかり。
暴飲暴食を繰りかえし、今だけよければ、それでよいというような考え方をする。もちろん運動など、しない。
まさにしたい放題。 で、問題は、どうすれば、そういう子どもにしないですむかということ。一歩話を進めると、どうすれば、子どもがもつ展望性のハバを広くすることができるかということ。
ためしに、あなたの子どもと、こんな会話をしてみてほしい。
親「あなたは、おとなになったら、どんなことをしないか?」
親「そのために、今、どんなことをしたらいいのか?」
親「で、今、どんなことをしているか?」と。
以前、こんな女の子がいた。小学三年生の女の子だった。たまたまバス停で会ったので、近くの自動販売機で、何かを買ってあげようかと提案したら、その女の子は、こう言った。
「私、これから家に帰って夕食を食べます。今、ジュースを飲んだら、夕食が食べられなくなるから、いいです」と。
その女の子は、自分の未来を、しっかりと展望していた。で、その女の子で、もう一つ、印象に残っていることで、こんなことがあった。
正月のお年玉として、かなりのお金を手にしたらしい。その女の子は、それらのお金をすべて貯金すると言う。
そこで私が、その理由を聞くと、「お金を貯金して、フルートを買う。そのフルートで、音楽を練習して、私はおとなになったら、音楽家になる」と。
一方、そうでない子は、そうでない。お金を手にしても、すぐ使ってしまう。浪費してしまう。飲み食いのために、使ってしまう。
少し前だが、タバコを吸っている女子高校生とこんな会話をしたことがある。
私「タバコって、体に悪いよ」
女「知ってるヨ〜」
私「ガンになるよ」
女「みんな、なるわけじゃ、ないでしょう……?」
私「奇形出産のほとんどは、タバコが原因でそうなるっていう話は、どう?」
女「でも、そんな出産したという話は、聞かないヨ〜」
私「みんな、流産という形で、処置してしまうから……」
女「結婚したら、やめるヨ〜」
私「で、タバコって、おいしいの?」
女「別においしくないけどサ〜。吸ってないと、何となく、さみしいっていうわけ」
私「だったら、やめればいいじゃん」
女「また、病気にでもなったら、そのとき、考えるわ」と。
先の「フルートを買う」と答えた子どもは、ハバの広い展望性をもっていることになる。しかしタバコを吸っていた子どもは、ほどんど、その展望性のハバがないことになる。
こうしたちがいが、なぜ起きるかと言えば、結局は、私の説く「自由論」に行き着く。「自らに由(よ)る」という意味での、自由論である。
それについては、すでに何度も書いてきたので、ここでは省略する。しかし結局は、子どもは、(自分で考え、自分で行動し、自分で責任をとれる子ども)にする。展望性のハバの広い子どもになるかどうかは、あくまでもその結果の一つでしかない。
※このページの文章・及び画像の著作権は「はやし浩司」様が保有しています。
当サイトでは「はやし浩司」様のご厚意により許可を得て掲載させていただいております。
【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。