適切な幼児教育は後の人間形成において大変重要であると考えていますが注意していただきたいことがあります。
幼児教育は完璧な育児や教育を推奨するものではないということです。
・愛情が第一を忘れない
・他の子どもと比較をしない
・完璧主義にならない
・結果を期待しすぎない
・ゆったりとした心を持つ
子どもへの過剰な期待は親子共に大きなストレスになる危険性あります。
ゆったりと構え、少しくらい上手くいかなくても「まぁ、いっか。」に考えられることが幼児教育を続けられるポイントになります。
「父親論」について はやし浩司先生の子育て随筆
父親の役割は、二つ、ある。(1)母子関係の是正と、(2)行動の限界設定である。これは私の意見というより、子育ての常識。
●母子関係の是正
母親と子どもの関係は、絶対的なものである。それについては、何度も書いてきた。
しかし父親と子どもの関係は、「精液一しずくの関係」にすぎない。もともと母子関係と、父子関係は平等ではない。
その子ども(人間)のもつ、「基本的信頼関係」は、母子の間で、はぐくまれる。父子の間ではない。そういう意味で、子育ての初期の段階では、子どもにとっては、母親の存在は絶対的なものである。この時期、母親が何らかの理由で不在状態になると、子どもには、決定的とも言えるほど、重大な影響を与える。情緒、精神面のみならず、子どもの生命にも影響を与えることさえある。
内乱や戦争などで、乳児院に預けられた赤ちゃんの死亡率が、きわめて高いということは、以前から指摘されている。
では、父親の役割は、何か。
父親の役割は、実は、こうした母子関係を調整することにある。母子関係は、ここにも書いたように、絶対的なものである。しかしその「絶対性」に溺れてしまうと、今度は、逆に、子どもにさまざまな弊害が生まれてくる。マザーコンプレックスが、その一つである。
一般論から言うと、父親不在の家庭で育った子どもほど、母親を絶対視するあまり、マザーコンプレックス、俗にいう、マザコンになりやすい。40歳を過ぎても、50歳をすぎても、「ママ」「ママ」と言う。
ある男性は、会社などで昇進や昇給があると、妻に話す前に、母親に電話をして、それを報告していたという。また別の男性(50歳)は、せとものの卸し業を営んでいたが、収入は一度、妻ではなく、すべて母親(80歳)に手渡していたという。
また、ある男性(53歳)は、「母の手一つで育てられました」と、いつも人に話している。一度講演会で、涙声で、母に対する恩を語っているのを聞いたことがある。
その男性は、その母と、自分の妻が家庭内で対立したとき、離婚という形で、妻を追いだしたと聞いている。しかし自分の中の、マザコン性には、気づいていないようだ。
常識で考えれば、おかしな関係だが、マザコンタイプの人には、それがわからない。そうすることが、子どもの務めと考えている。
そしてマザコンタイプの子どもの特徴は、自分のマザコン性を正当化するために、母親をことさら、美化すること。「私の母は偉大でした」と。そしてあげくの果てには、「産んでいただきました」「育てていただきました」「女手一つで、育てていただきました」と言いだす。
マザコンタイプの男性は、(圧倒的に男性が多いが、女性でも、少なくない)、親の悪口や、批判を許さない。少し批判しただけで、猛烈に反発する。依存性が強い分だけ、どこかのカルト教団の信者のような反応を示す。(もともとカルト教団の信者の心理状態は、マザコンタイプの子どもの心理と、共通している。徹底した隷属性と、徹底した偶像化。妄信的に、その価値を信じこむ。)
そこで父親の登場!
こうした母子関係を、父親は、調整する。もっとわかりやすく言えば、母子関係の絶対性に、クサビを入れていく。
ここに母子関係と、父子関係の基本的なちがいが、ある。つまり母子関係は、子どもの成長とともに、解消されねばならない。一方、父子関係は、子どもの成長とともに、つくりあげていかねばならない。つまり、それが父親の役割ということになる。
……という話は、子育ての世界では、常識なのだが、しかし問題は、父親自身が、マザコンタイプであるとき。
こういうケースでは、父親自身が、父親の役割を、見失ってしまう。いつまでも母親にベタベタと甘える自分の子どもをみながら、それをよしとしてしまう。そしてなお悪いことに、それを代々と繰りかえしてしまう。
問題は、そうした異常性に、母親や父親が、いつ、どのような形で、気づくかということ。
しかしこの問題は、脳のCPU(中央演算装置)の問題であるだけに、特別な事情がないかぎり、それに気づく母親や父親は、まずいない。(この原稿を読んだ方は、気づくと思うが……。)
そこで一つの方法として、私がここに書いたことを念頭に入れて、あなたの周囲の人たちを、見回してみてほしい。よく知っている親類の人とか、友人がよい。このタイプの人が、何人かは、必ずいるはずである。(あるいは、ひょっとしたら、あなたや、あなたの夫がそうであるかもしれない。)
そういう人たちを比較しながら、自分の姿をさぐってみる。たとえば父親不在の家庭で育った子どもほど、マザコン性をもちやすい。そういうことを手がかりに、自分の姿をさぐってみる。
●行動の限界設定
もう一つ、父親の大きな役割は、子どもの行動に、限界を設定すること。わかりやすく言えば、行動規範を示し、いかに生きるべきか、その道徳的、倫理的規範を示すこと。さらにわかりやすく言えば、「しつけ」をすること。
しかし、これはむずかしいことではない。
こうした基本的なしつけは、ごく日常的な、ごく基本的なことから始まる。そして、ここが重要だが、すべてはそれで始まり、それで終わる。
ウソをつかない。
人と誠実に接する。
約束やルールは守る。
自分に正直に生きる。
さらに一歩進んで……
家族は大切にする。
家族は守りあう。
家族は教えあう。
家族はいたわり、励ましあう。
さらに一歩進んで……
自分の生きザマをつらぬく。
こうした生きザマを、ごくふつうの家庭人として、ごくふつうの生活の中で、見せていく。見せるだけでは足りない。しみこませておく。そしてそれに子どもが反したような行動をしたとき、父親は、それに制限を加えていく。
こうした日々の生きザマが、週となり、月となり、そして年となったとき、その子どもの人格となる。
その基礎をつくっていくのが、父親の役目ということになる。
一見簡単そうに見えるが、簡単でないことは、父親ならだれしも知っている。こうした父親像というのは、代々、受けつがれるもの。その父親が作るものではないからである。
そういう意味で父親から受ける影響は、無視できない。たとえばこんなことがある。
私には、三人の息子がいる。年齢は、それぞれ、ちょうど三年ずつ、離れている。
そういう三人の息子を比較すると、それぞれが、私のある時期の「私」を、忠実に受けついでいるのがわかる。(もちろん息子たち自身は、そうは思っていないが……。)
一番特徴的なのは、それぞれの息子たちが、年長児から小学二、三年生にかけて私が熱中した趣味を、受け継いでいるということ。
長男がそのころには、私は、模型飛行機やエアーガン、その種のものばかりで遊んでいた。だから、長男は、こまかいものを、コツコツと作るのが趣味になってしまった。
二男のときは、パソコン。三男のときは、山荘作り。今、それぞれが、その流れをくむ趣味をもっている。父親が子どもに与える影響というのは、そういうものと考えてよい。みながみな、そうということでもないだろうが、大きな影響を与えるのは、事実のようだ。
まあ、もしあなたがあなたの子どもを、よい人間に育てたいと思っているなら、(当然だが……)、まず、自分の身のまわりの、ごく簡単なことから、身を律したらよい。「あとで……」とか、「明日から……」というのではない。今、この瞬間から、すぐに、である。
この瞬間からすぐに、
ウソをつかない。
人と誠実に接する。
約束やルールは守る。
自分に正直に生きる。
たったこれだけのことだが、何年かたって、あるいは何十年かたって、今のこの時を振りかえってみると、この時が、子育ての大きな転機になっていたことを知るはず。
ただし……。私は生まれが生まれだから、こういうことは、あえて努力しないと、できない。ふと油断すると、ウソをついたり、自分を偽ったりする。へつらったり、相手の機嫌をとったりする。そういう自分から早く決別したいと思うが、それが、なかなかむずかしい。
がんばろう! がんばりましょう! 父親の役割というのは、そういうもの。
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。