適切な幼児教育は後の人間形成において大変重要であると考えていますが注意していただきたいことがあります。
幼児教育は完璧な育児や教育を推奨するものではないということです。
・愛情が第一を忘れない
・他の子どもと比較をしない
・完璧主義にならない
・結果を期待しすぎない
・ゆったりとした心を持つ
子どもへの過剰な期待は親子共に大きなストレスになる危険性あります。
ゆったりと構え、少しくらい上手くいかなくても「まぁ、いっか。」に考えられることが幼児教育を続けられるポイントになります。
「展望性と回顧性(2)」について はやし浩司先生の子育て随筆
自分の未来や将来は、どうなのか。どうあるべきなのか。それを頭の中で組み立てることを、展望性という。未来や将来に、夢や希望をはせらすことも、それに含まれる。
一方、自分の過去は、どうであったのか。どこにどんな問題があったのかを反省することを、回顧性という。思い出にひたったり、過去をなるかしむのも、それに含まれる。
賢人は、ハバ広い展望性と、回顧性を、いつも同時にもつ。しかし愚人は、そのどちらもハバが狭い。その場だけを、享楽的に過ごす。それでよしとする。
概して言えば、若い人は、よりハバの広い展望性をもち、老人は、よりハバの広い回顧性をもつと言われている。そこであなた自身の展望性と、回顧性が、どの程度のハバをもっているかを知るとよい。それによって、あなたの精神年齢を、推定することができる。
もしあなたが今でも、未来に向かって、目標や目的をもち、生き生きとしているなら、展望性のハバは広いということになり、あなたは精神的に若いということになる。しかしいつも過去をなつかしんだり、過去の栄華や、過去の思い出にひたってばかりいるというのであれば、あなたの精神年齢は、老人のそれということになる。
その展望性と回顧性は、満60歳前後を境として、入れかわると言われている。つまり満60歳を過ぎると、展望性よりも回顧性のほうが、強くなるという(心理学者のB・ボナーら)。
実は、私も何かにつけて、このところ回顧性が強くなったように思う。昨夜も、ある飲食店で、オーストラリアの旅行案内書を読んでいたときのこと。その一頁に、ジーロン(メルボルンの南にある町)から、ローン(避暑地)を経て、アデレード(南オーストラリア州の州都)にのびる街道のことが、書いてあった。
「グレート・オーシャン・ロード」という名前の道路である。第一次大戦の退役軍人らが建設した道と聞いている。
その街道の記事が、その本に載っていた。
その記事を読んでいたときのこと、いつしか私の目は、涙で、うるんできてしまった。
私には、思いで深い街道だった。今でも、私の机の上には、その街道の写真が飾ってある。
「また行きたいな」という思いと、「もう死ぬまで行けないかもしれない」という思いが、その記事を読んでいるとき、複雑に交錯した。
つまりそのとき、自分の心の中で、ここでいう展望性と回顧性が、同時に交錯したことになる。もちろん若いときは、そういう感情をもつことは、なかった。「もう死ぬまで……」などとは、考えもしなかった。未来は、永遠につづくように思っていた。
だからといって、回顧性をもつことが悪いということではない。若いころの自分を回顧することで、私の中の心のハバを広くすることができる。ただ、それにひたりすぎるのは、よくない。あくまでも、過去は過去。未来を、よりよく生きるために、過去は、ある。
あえて言うなら、こうして過去を回顧することによって、生きることにまつわる「いとおしさ」のようなものを知ることができる。生きることのすばらしさというか、美しさというか、そういうものである。おかしな感覚だが、懸命に生きてきた、自分が、どういうわけか、かわいい。いとおしい。そして当然のことながら、なつかしい。
が、そのままここに、立ち止まるわけには、いかない。
私は、今、こうしてここに生きている。そして、まだまだ生きなければならない。生きることをあきらめるわけには、いかない。そこで大切なのは、いかにして、展望性のハバを広くするかということ。
一〇年後も、二〇年後も、今日と同じように、「今」はある。青い空がそこにあって、冬であれば、冷たい風が吹いている。そのとき、私は、いったいどうなっているだろうか。
今のままなら、多分、一〇年後も、今と同じように元気で、生きていると思う。しかし二〇年後は、わからない。そのときも、私は今の私のように、まだ心の荒野の中を、前に向って進んでいるだろうか……。健康や生活は、どうだろうか……。
展望性と回顧性。この二つには、より心豊かに生きるための、重要なカギが隠されているように思う。今は、その程度のことしか、わからないが、この先、機会があれば、またゆっくりと考えてみたい。
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【はやし浩司先生のプロフィール】
1947年岐阜県生まれ。
金沢大学法文学部法学科卒業。
日豪経済員会給費留学生として、オーストラリアメルボン大学ロースクール(法学院)研究生、三井物産社員、幼稚園教師を経て、浜松市にてBW(ブレイン・ワーク)教室、幼児研究所を設立。
独自の哲学・教育論をもとに幼児教育の実践を行っています。
現在は教育評論家として、ホームページやブログ、メルマガ、ユーチューブ等を利用しながら執筆活動に専念しています。
●著書に「子育て最前線のあなたへ」(中日新聞社)、「おかしな時代のまともな子育て論」(リヨン社・2002年3月発行)、「ドラえもん野比家の子育て論」(創芸社)など、30冊余り。
うち4冊は中国語にも翻訳出版されています。
「まなぶくん幼児教室」(学研)、「ハローワールド」(創刊企画・学研)などの無数の市販教材も手がけ、東洋医学、宗教論の著書も計8冊出版されています。
●教育評論家、現在浜松市伝馬町でBW教室主催。
●現在は、インターネットを中心に活動中。
メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞(08)、
電子マガジン読者数・計3000人(09)、ほか。
「BW公開教室」を、HP上にて、公開中。
(HPへは、「はやし浩司」で検索、「最前線の子育て論byはやし浩司」より。)
過去の代表的な著書
・・・などなど30冊余り出版されています。